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政府部内資料から見た米軍の現況(2026年)
『軍事民論』第790号(2026年10月21日)…14頁。 政府部内資料から見た米軍の現況(2026年) 本号では、防衛省・外務省の情報公開請求により開示された部内向け資料の中から、米軍に関する図表等を掲載しています。米軍の組織や部隊の配置、指揮体制などについて、図や資料を交えて紹介します。 (掲載資料) 「米国家安全保障戦略」(外務省 2025年12月) 米国の最上位戦略である国家安全保障戦略の要点を紹介。 「国家防衛戦略(2026 NDS)」(2026年1月 防衛省) 米国の軍事戦略である国家防衛戦略の要点を紹介。 「米北方軍、グリーンランド3拠点への拡大を検討」(陸自基礎情報隊 作成年月日8.3.27) 米北方軍のグリーンランドにおける軍事プレゼンス拡大の計画について米軍及び米議会調査局資料からまとめたものもの。 「米南方軍及び米宇宙軍、南方宇宙コマンド(SPACEFOR-SOUTH)を新編(2026年1月21日)」(陸自基礎情報隊 作成年月日:8.1.28) 2026年1月21日、米南方軍及び米宇宙軍は、アリゾナ州デービスモンサ
外務省の開示決定に「十分な検討なし」と断罪―情報公開審査会が異例の指摘
情報公開法に基づく省庁の開示決定について、恣意的な不開示決定の疑念がかねてより指摘されてきた。 この疑念に情報公開審査会がズバリと切り込み、不開示決定の取り消しを求める異例の答申を行った。 それが「令和8年度(行情)答申第583号ないし同第586号」だ。 同答申は、「日米韓首脳会合及びワーキング・ランチ」(2023年8月18日)に関する外務省の開示決定に対する審査請求について行われたものだ。 情報公開審査会の調査・審議においては、同省が同一文書に異なる文書番号で開示決定を行い、一方では全部不開示、別の文書では一部開示とした例も確認された。この真逆の判断は、同省の開示基準(「行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示決定等に関する審査基準」)の客観性に疑いを生じさせるものだ。 こうした同省の判断や、「漠然とした件名あるいは公電番号のみが記載され、どのような文書が含まれ、どの程度の分量(枚数)であるのかも明らかにされていない」(7頁)といった理由から、「個々の不開示部分の検討を十分にしないままに処分を行ったのではないかといった疑問
10月月例研:自衛隊のインテリジェンス
【日 時】10月24日(土)午後3時~5時(2時45分開場) 【テーマ】自衛隊のインテリジェンス 【検討資料】統合教範8-4「統合情報」(統合幕僚監部) 統合運用に伴うインテリジェンス業務の準拠となる同教範から自衛隊の情報活動について知見を得たい。 【場 所】赤城会館(JR・地下鉄東西線「飯田橋」駅)*申込者には会場地図をお送りします。 【参加費】本会会員¥1千円/その他¥2千円 【予約制】10月22日(木)までに住所(メディア関係者はご所属メディアでも結構です)・氏名を明記して上、本会アドレスttn5rhg28d@mx2.ttcn.ne.jpまで「10月月例研参加希望」とお申し込み下さい。領収証をご希望の方は、申し込み時に宛先・但書をご指定の上、お申し付け下さい。 【関連情報】 『軍事民論』第786号*ここをクリック 『防衛白書』がいう「可能性がある」は何%かが分かる 防衛省情報本部「情報業務実施要領」の概要 防衛省情報本部に「情報戦担当情報官」が新設―本会の情報公開請求により判明 *ここをクリック 【レジュメの頒布】...
今回も基地への抗議行動対処訓練実施か?―キーン・ソード27
日米共同演習「キーン・ソード27」10月19日から実施から実施される(『琉球新報』)。 2020年度に実施された「キーン・ソード21」では、基地警備訓練の名称で基地への抗議行動に対処する訓練も行われていたのである。しかも自衛隊基地での警備訓練など、リアルな状況設定のため、わざわざ「自衛隊反対!」のプラカードを持たせる念の入れようだった。 今回の演習でも沖縄では、陸自部隊による実動の基地警備訓練が、ホワイト・ビーチ及びキャンプ瑞慶覧〔「令和8年度日米共同統合演習(実動演習)について(KS27)」(沖縄県)〕と奄美大島〔「令和8年度日米共同統合演習(実動演習)の鹿児島県内における訓練について」23頁〕で実動による基地警備訓練が予定されている。 また九州においても、陸自と空自部隊による協同の基地警備訓練が健軍駐屯地で予定されている〔「令和8年度日米共同統合演習(実動演習)の熊本県内における訓練について」11頁〕〕。 今回の演習において、最も注目すべき訓練である。 【関連情報】 日米共同演習で基地への抗議行動対処訓練―統裁官報告から明らかに *こ


情報公開で判明 衆議院事務局が提供か? 質問主意書を内閣転送前に外務省がフライングで入手!
情報公開で判明 衆議院事務局が提供か? 質問主意書を内閣転送前に外務省がフライングで入手? 10月5日から臨時国会が召集される。国会審議を巡っては近年、野党議員が提出する「質問主意書」への対応が官僚の長時間労働の一因になっているとして問題視されている。 質問主意書とは、「国会法」第74条に基づき国会議員から提出される書面による質問だ。国会会期中であれば衆参国会議員の誰でも、どんな内容であっても提出できる。 この質問主意書が官僚の長時間労働の一因になっているという批判の1つに、その対応が「(土日を含めて)7日以内に、閣議決定まで行わなければならない」(官僚の長時間労働の一因になっている「質問主意書」のルールも変えた方が良いのでは?)というものがある。 なぜなら質問主意書は、「質問する議員は主意書を作り、議長に提出して承認を得る必要があります。議長承認後、内閣に送られ、内閣は主意書を受け取った日から原則7日以内に回答」(「【“いまさら聞けない”ニュースワード】質問主意書」)しなければならないからだ。 ところが内閣が質問主意
現地住民の離島からの避難を許さない 陸自が有事で行う「現地調達」―陸自教範『兵站』より
『軍事民論』第789号(2026年10月1日)…9頁 (記事1) 現地住民の離島からの避難を許さない 陸自が有事で行う「現地調達」―陸自教範『兵站』より (記事2) 陸上自衛隊補給本部改編の狙い―南西諸島有事を念頭に全国規模での補給・整備を可能に 【記事1】 (小見出し) 1.なぜ「現地調達」なのか 2.「現地調達」とは 3.現地調達の対象は何か 4.どのように―「現地調達」の手順 5.自衛隊法を無視?―有事の労務・役務の調達 6.おわりに―避難が許されない住民の選抜が始まる 災害派遣時にはその「自己完結性」に期待が集まる自衛隊であるが、実は有事においては現地調達に頼るのである。そのことを明らかにしている部内資料が、本会の情報公開請求に対して防衛省が開示した陸上自衛隊教範『兵站』(陸上自衛隊教範4-02-01-01-30-0号)だ。 同教範は「陸上総隊、方面隊及び師団・旅団(中央兵站組織を含む。)に焦点を当てて、各級部隊の指揮官及び幕僚として必要な兵站に関する基本的事項及び業務遂行要領を記述」(「はしがき」


初公開 防衛省部内資料が明らかにした 宇宙作戦集団の編制と役割
『軍事民論』第788号(2026年9月28日)…6頁 (記事1) 初公開 防衛省部内資料が明らかにした 宇宙作戦集団の編制と役割―「相手の指揮・通信を妨げる能力」の本格運用開始 (記事2) 「宇宙作戦」とは―「航空自衛隊コアドクトリン2021」(幹部学校草案)より 【記事1について】 航空自衛隊が今年(2026年)度に「航空宇宙自衛隊」へ改編される。その中核となるのが、現在の「宇宙作戦群」を改編して新設される「宇宙作戦集団」だ。 しかし防衛省は同集団の新編を公表しただけでその詳細については何も明らかにしていない。このため国民は、その実像を知る手がかりをほとんど持てずにいる。 こうした状況下で、このたび本会の情報公開請求に対して防衛省は、「部内限り」の標記が付された「防衛省設置法等の一部を改正する法律案(令和8年度予算関連法案)勉強会資料」(2026年1月8日現在)を開示した。 (注)「部内限り」に斜め線(取り消し線)が引かれているのは、防衛省が開示実施に当たって施した措置。文書の開示に当たって不
マスメディアへの外国からの「影響工作」も調査対象―国家情報会議設置法案説明資料より
本年7月31日に発足した国家情報会議は、我が国インテリジェンスの司令塔機能を担う組織として紹介されることが多い。しかし、具体的にどのような情報や活動を国家情報会議が取り扱うことを想定しているのかは、必ずしも明らかになっていない。 今回本会は、国家情報会議設置法(以下「設置法」)に関連する資料の情報公開請求を内閣官房に行い、その開示を受けた。一連の資料の中から、国家情報会議で扱う情報や、外国による情報活動への対処について、具体的な想定事例を記載した資料が見つかった。 それが、内閣法制局への説明資料として作成された「国家情報会議設置法案(仮称)説明資料」(2025年12月 内閣情報調査室)だ。なお内閣情報調査室は、設置法の法案段階での所管官庁で、同法成立に伴い国家情報局に改組された。 資料では、「外国情報活動への対処」(設置法第2条)に関する同会議の調査審議事項の1つとして、外国情報機関による我が国のマスメディアへの働き掛けを挙げている(資料10頁)。 また政府は国会答弁で、外国勢力によるものではない我が国の市民団体等の活動は、「外国情報活
9月月例研:「兵站」概論
【日 時】9月26日(土)午後3時~5時(2時45分開場) 【テーマ】「兵站」概論 英語圏での古くからの格言に「戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る。」(注)がある。 我が国では自衛隊OBを代表とする軍事専門家の中でStrategist(ストラテジスト)を名乗る者は数多くいるが、logistician(ロジスティシャン)を名乗る者はいない―即ち戦争のプロがいないのが現状だ。 また米シンクタンク等から台湾有事に関するシミュレーションが公表されているが、いずれも兵站について言及されていない。 本例会では、(本会の情報公開請求に対して防衛省が開示した)海上自衛隊部内通信教育資料から兵站(=ロジスティクス)の基礎について学ぶ。 (注)マーチン・ファン・クレフェルト「補給線 何が勝敗を決定するのか」(中央公論新社)399頁。 【検討資料】「ロジスティクス」部内通信教育基本資料 【場 所】赤城会館(JR・地下鉄東西線「飯田橋」駅)*申込者には会場地図をお送りします。 【参加費】本会会員¥1千円/その他¥2千円 【予約制】9月24日(木)までに住所
「可動率100%」では継戦能力が失われる? ―現職3等空佐が問う出口戦略から考える航空機運用
可動率こそが部隊の実力であり、継戦能力の本質であるという(永岩俊道 元空将ブログ)。これに従えば、台湾有事を巡り南西諸島が戦域となる事態が現実味を増す中、自衛隊がこれに全力で対処するためには、兵器の可動率を可能な限り高く維持することが必要だというのが、論理的帰結となる。 ところが現職の3等空佐が、継戦能力の観点から「戦時こそあえて可動率を下げる必要がある」との提言を航空自衛隊部内誌『そうび』に寄稿している。なお『そうび』誌は、空自装備業務関係者の「相互の知識及び技術の向上並びに意思の疎通を目的」(同誌奥付の「配信の趣旨等」)として空自補給本部が発行している。 本ニュースでは、その要旨を紹介する。 【関連情報】 台湾有事「南西シフト」継戦能力の死角―防研部内研究が継戦能力強化に鉄道活用を提言 *ここをクリック 台湾有事に備え南西島嶼に3週間以上の継戦態勢を―陸幕防衛課編成班長の提言 *ここをクリック 自衛隊が期待する有事における鉄道輸送―防衛省運用政策課長が漏らした本音「ウ戦争が始まってから1日も止まったことは無い…124名が命を落とした…鉄道
普天間基地返還は橋本・モンデール会談前に事務方で合意?! ―防衛省開示文書が示す「日米合同委での先行合意」
返還で日米両政府が合意しているにもかかわらず、移設先の辺野古基地の完成が見通せないため、返還のめどが立たない普天間基地。 同基地の返還は、1996年4月12日の橋本首相とモンデール駐日米大使との会談で合意した―これがこれまで広く知られてきた経緯だ。 しかしその約2週間前の3月28日に、日米合同委員会(以下「日米合同委」)の下部組織である施設分科委員会を通じて返還の合意が既になされていたことが、本会の情報公開請求に対して防衛省が開示した文書から明らかになった。つまり、国民が「政治の決断」として知らされてきた返還合意は、実際には事務方が先に段取りを整えていたわけだ。 今回本会は、防衛省に対して「普天間基地に関して『在日合衆国軍隊から施設分科委員会を通じ、現施設及び区域に代わるものを日本政府が新たに提供することを条件に、現施設及び区域を返還する用意がある旨の提案がなされた』事実を示す文書」という情報公開請求を行った。 この請求の趣旨は、国有財産を在日米軍に提供する場合の事務手続を定めた『在日合衆国軍隊の用に供する国有財産の取扱いについて』が、代


米国防総省監察官が在沖米軍基地インフラを問題視―嘉手納では住宅・給水施設などに深刻な劣化
『軍事民論』第787号(2026年9月1日発行)…5頁 米国防総省監察官が在沖米軍基地インフラを問題視 ―嘉手納では住宅・給水施設などに深刻な劣化― 米国防総省監察官(Department of Defense Inspector General)は、米太平洋軍(USPACOM)管轄地域の軍事施設について、インフラの修繕を緊急に行うよう求める報告書を8月に公表した。 日本国内では、キャンプ・コートニー、フォート・バックナー、トリイ通信施設、嘉手納基地、横田基地などが対象となっている。監察官は、これらの施設について、任務に不可欠なインフラだけでなく、水道や住宅などにも問題があると指摘している。 この調査は、もともと太平洋軍管轄地域における電磁パルス(EMP)に対する防護対策を評価するために2025年12月に開始された。その過程で、インフラの劣化に関する問題が明らかになったという。監察官は2025年2月と5月には、太平洋軍管轄地域の11施設を実地調査している。 本号では、同報告から在沖米軍施設関連の箇所について紹介する。 (小見出し) 住
「在沖海兵隊グアム移転」に潜む隠れたリスク―米会計検査院が指摘した移転先アンダーセン空軍基地の老朽化問題
「沖縄の基地負担を軽減するため、在沖米海兵隊の一部をグアムへ移転する」―これが、2006年の日米合意以来進められてきた在沖米海兵隊のグアム移転である。 2024年12月には、移転の第一段階として約100人の先遣隊が沖縄からグアムへの移転を開始した。防衛省によれば、今後、4,000人以上の海兵隊要員が段階的にグアムへ移転する予定だ。 しかし、その移転先であるグアムには、見過ごせない問題がある。 それがグアムの米軍施設で生じている老朽化問題だ。 この問題を米会計検査院(U.S. Government Accountability Office:GAO)が報告書で指摘していることが明らかになった。 (小見出し) アンダーセン施設維持費は必要額の37% 完成が何年も遅れている格納庫 老朽化の問題はアンダーセンだけでない 【関連情報】 米国防総省監察官が在沖米軍基地インフラを問題視 ―嘉手納では住宅・給水施設などに深刻な劣化 *ここをクリック ******** 続きを読まれたい方へ ******** 上記は会員向け本会ニュースですが、部外の
「身近な人の自衛隊入隊」に賛成割合が最低、反対が最高―空自隊員意識調査より
航空自衛隊員(自衛官、事務官、技官を含む)の間では、身近な人の入隊に賛成する人の割合が低下し、逆に反対する人の割合が上昇している。同隊員を対象に実施した部内意識調査で、そんな結果が明らかになった。 その部内資料が「令和7年度隊員意識調査結果」(中業隊人管第9号(令和8年2月28日)別冊)(注)だ。 同調査は2年に1度実施されており、「身近な人の自衛隊入隊に対する賛否」という設問で、「賛成」と回答した割合が令和に入ってからの調査で最低となる一方、「反対」と回答した割合は最高となっていた(202頁)。 今回を除けば、「賛成」の割合が最も低く、逆に「反対」の割合が最も高かったのは、「平成27年度隊員意識調査結果」(空幕人計第60号(28.3.24)別冊)での結果であった。この時の調査期間は平成27年(2015年)7月1~31日で、安全保障関連法案を巡って与野党が激しく対立していた時期に当たる。同調査で、入隊に反対する理由として最も多かったのが、「集団的自衛権の行使など、危険な任務が増える可能性があるため」(201頁)だった。 (注)ここをクリック
平和的であっても中台統一は日本の「危機」!?―自民党保守派のホンネ
高市 総理の台湾有事「存立危機事態」答弁以降、我が国では中国による台湾統合に関する議論がかまびすしい。 改めて基本に立ち戻ると、中台統一に関する日本政府の原則的な態度は、以下の2つに表れている。 ① 「衆・平和安全特委 外相用 想定問(6月17日衆・平安委)」5頁。 (国際法上、台湾は「自国と密接な関係にある外国」に当たり得るのかとの質問に対して)「我が国はサンフランシスコ平和条約第2条により,台湾に対する『すべての権利,権原及び請求権』を放棄しているので,台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはない。」 ② 1972年11月8日衆議院予算委員会で当時の大平 外務大臣による以下の答弁(「第70回国会衆議院予算委員会会議録第5号」2頁)。 わが国は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するとの立場をとっております。したがって、中華人民共和国政府と台湾との間の対立の問題は、基本的には、中国の国内問題であると考えます。わが国としては、この問題が当事者間で平和的に解決されることを希望する
「客観的に尖閣諸島が日本の施政下にあるとは言えない」―『防衛白書』の解説を否定した統幕学校部内研究
『防衛白書』には「解説」と題する囲み記事がある。2026年版『白書』によれば、これは「特定のトピックについて、防衛省の立場からより詳しい説明を加え」るものだ(目次-5頁。表紙から9枚目)。 近年の『白書』では毎年、「解説」において尖閣諸島を取り上げており、そこでは、「尖閣諸島(沖縄県石垣市)は、歴史的にも国際法上も疑うことなきわが国固有の領土であり、現にわが国が有効に支配しています。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しません」(同上『白書』292頁)と繰り返し主張されている。 ところが、本会の情報公開請求により防衛省が開示した統合幕僚学校の部内研究に「現在、客観的に尖閣諸島が日本の施政下にあるとは言えない」(35頁)との記述があることが明らかになった。これは「現にわが国が有効に支配しています」との『白書』の解説を否定するものだ。 その部内研究が、「各国が考える領域横断作戦の概要に関する研究」(2021年3月25日 統合幕僚学校)である。同研究は、「令和元年度指定研究」として実施されたものだ。「指定研究」とは、統


わざわざ古いデータで大臣に説明?―「防衛力変革推進本部会議」検討資料の謎
組織のトップには最新情報が報告される―そうでなければトップの判断を誤らせることになる―これが世間一般の常識であろう。 ところが、その常識が通用していないのが防衛省のようだ。 そのことを示すのが、第9回「防衛力変革推進本部会議」(2026年8月3日)での検討資料「現行の国家防衛戦略・防衛力整備計画の評価(課題と今後の方向性)」(防衛省 2026年8月3日)だ。 同会議は、2025年10月24日に行われた高市総理の所信表明演説で、現行の国家安全保障戦略に定める「対GDP比2%水準」の前倒しと、戦略三文書の改定を目指して検討を開始することの方針が示されたことを受け、省内に設置されたものだ(議長は防衛大臣)。 同資料7頁に掲載された図(下図参照)は、2025年(年度か暦年かは不明)における日中間の軍事力の格差を視覚化したものだが、但し書きには「2024年度末実勢力」となっている。 しかしながら、同会議以前に公表された2026年版『防衛白書』資料編(54頁)には「資料8 主要艦艇の就役数」(護衛艦の数が掲載)と「資料9 主要航空機の保有数・性能諸


沖縄への「認知戦」をことさら強調するのはなぜか?―『防衛白書』コラムは沖縄県知事選を前に問題はないのか
はじめに 2026年版『防衛白書』には、2025年版に引き続き「認知領域における戦い」(228頁)と題するコラムが掲載されている。 認知戦、情報操作、浸透工作―。中国やロシアなどによるこうした活動が民主主義国にとって脅威となっているという警告は、近年の『白書』では珍しいものではない。 しかし、今年のコラムを2025年版(259頁)のそれと比較してみると、問題点が浮かび上がるのでそれを指摘したい。 「新しい警告」ではなかった 2026年版の概略は以下の通りだ。 中国やロシアが民主主義国の自由で開放的な政治・社会システムを利用して情報操作や浸透工作を行っていること、宣伝・プロパガンダ、ソーシャルメディアを利用した偽情報、統一戦線工作などがその手段であることが説明されている。 更に、中国による工作の目的として、 ・中国のイメージを向上させること ・中国にとって不利な外国の主張や情報に反駁すること ・相手国の社会の分断を拡大し、政治社会に混乱を生み出すこと が挙げられている。 以上の内容は、2025年版と全く同じである。...
日本の航空戦力を敢えて過小に見せていないか?―2026年版『防衛白書』への疑問
(小見出し) はじめに なぜ「作戦機」から輸送機を除外 輸送機が含まれる台湾航空戦力 露は極東配備兵力限定なのに、なぜ中国は全兵力合計なのか? はじめに 古今東西を問わず、軍事力強化を狙う政府が国民に対して行うのが、敵の戦力は大きく、我のそれは小さいというプロパガンダだ。 今年の『防衛白書』にもそうした傾向が見て取れるので指摘したい。 「図表Ⅰ-1-3 わが国周辺における主な兵力の状況(概数)」(『白書』47頁)では、強大な軍事力を持つ敵対的な国家に我が国が囲まれているというイメージを読み手は受け取るのではないか。 ただしここに示された数値を真に受けてはいけない。印象操作が加えられているからだ。 この図表の注意書きには「2 日本については令和7(2025)年度末における各自衛隊の実勢力を示し、作戦機数は航空自衛隊の作戦機(輸送機を除く)および海上自衛隊の作戦機(固定翼のみ)の合計である」とあり、輸送機と回転翼航空機の数が除外されている。 なぜ「作戦機」から輸送機を除外 ところが輸送機は、防衛力整備上では「作戦機」に含まれるのである。
「対処力」とは「『対処』する力」ではない
『防衛白書』などで「抑止力」と対になって使われる(「抑止力・対処力」といった)「対処力」であるが、抑止力と異なり、その概念や定義が説明されることがない。 そこで、この「対処力」という用語の概念について、元防衛官僚が解説しているので紹介したい。 元防衛官僚は「対処力」について以下の通り解説している。 自国が戦争による被害を受けないようにするには、①紛争を話し合いで解決する、②相手が「武力による紛争解決」を志向しても、実際に行動に出ることを思いとどまらせる、③相手が実際に戦争を仕掛けてきた場合には相手を撃退する、といったことが考えられる。①には外交力、②には抑止力、③には対処力が必要になる。 防衛省の中枢で勤務してきた元防衛官僚によるこの説明からは、防衛省が「対処力」という時には、「相手が実際に戦争を仕掛けてきた場合に、相手を撃退する」力という意味で用いていることが見て取れる。言い換えると、外交や抑止で解決できず、武力紛争が発生した後に武力を持って対応する力が「対処力」ということになる。 しかし、同じく『白書』で使われる「対処」という用語に
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