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中国との戦いに備えて通常型潜水艦を増強すべし―米海軍少佐の提言

  • 軍事問題研究会編集
  • 1月3日
  • 読了時間: 3分

 小泉 進次郎 防衛相がテレビ番組で、原子力潜水艦導入の必要性に言及するなど(Yahoo!ニュース)、我が国では原子力潜水艦の保有がにわかに議題に上がっているが、原潜の本家である米海軍では逆に現職の海軍少佐2人が通常型潜水艦の建造を海軍専門誌『Proceedings』で提言している。

 その論考(①論文)によると、潜水艦の建造競争において米国は中国に後れを取っており、攻撃型原潜(SSN)の数で中国に(執筆時の)来年にも並ばれることから、その解決策として小型で安価なディーゼル電気式非大気依存推進(AIP)潜水艦での増強を提言している。

 ①論文では通常型潜水艦のメリットして、小型で排水量が少ないため、原子力潜水艦が座礁する浅く狭隘な水域でも任務遂行可能である点を挙げている。静かに潜伏し、電力消費を節約し探知リスクを最小限に抑えながら交通監視や情報収集、標的待ち伏せが可能であるとする。

 このような能力は、台湾海峡、マラッカ海峡、ペルシャ湾、バルト海、黒海、あるいはグリーンランド・アイスランド・イギリス(GIUK)海峡といった、水深がしばしば60メートルを下回る要衝において極めて有用であるという。

 もう1つの論考(②論文)も同様な対中認識を基に法外なコストがかかる原潜より、通常型潜水艦を建造することで中国との潜水艦ギャップを埋めることを提言している。

 新型バージニア級原子力潜水艦の1隻あたりのコストは当初28億ドルであったが、後続のブロックV型になると40億ドル(1ドル=150円換算で6,000億円)を超えているという。

 一方、大韓民国は近年、KSS-III級通常潜水艦を3隻建造しており、1隻あたりの費用は約8億4500万ドルで、バージニア級ブロックV型1隻分の費用でSSGを5隻購入できる計算となる(注1)

 また通常型潜水艦は建造費だけでなく維持費も安い。2012年の議会予算局(CBO)の調査(注2)では、原子力推進が経済的となるのは原油価格がバレル当たり223ドル(2024年換算で約305ドル)を超えた場合のみと結論付けられており、これは現行価格(2024年換算78ドル)を大幅に上回る水準である。

 なお通常型潜水艦の欠点の一つである、原潜と比較して航続距離が短く、持続時間が限られる点については前方展開基地によって補うことが可能であるとする。インド太平洋地域には既に複数の適地が存在し、その他の潜在的な母港も迅速に整備可能であるからだ(下図参照)

 そこで②論文は、主要なインド太平洋地域の同盟国(日本、韓国、オーストラリア)と共同で通常型潜水艦を設計・建造することを提言するのである。また潜水艦の共同建造は単に費用対効果が高いだけでなく、同盟関係を構築する手段にもなるという。

 こうした米海軍の状況を鑑みると、我が国の原潜保有は、米海軍の期待に肩透かしを食らわすことになりそうだ。

(注) ①及び②論文のタイトルとULRは会員のみに配信済み

(注1) 2025度年予算要求(「令和7年度予算案の概要」)での「たいげい」型潜水艦建造費が1,140億円なので、原潜1隻で「たいげい」5隻が購入できる勘定となる。

(注2) 出典のURLは会員のみに配信済み。


 
 
 

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