『軍事民論』第723号(10月2日)…9頁
台湾有事(中国による台湾侵攻)の懸念が強まる中、その波及の懸念から我が国政府は南西諸島における国民保護に本腰を入れている。中でも台湾に最も近い与那国島には、7月に松野 官房長官が訪れ、有事の際に住民が速やかに避難できるよう、空港や港の機能拡充などの検討を進めていく考えを伝えたと報じられている*1。
その一方で、防衛省・自衛隊は既に問題点を洗い出しているにも関わらず、それを国民に明らかにしようとしない*2。
そこで今回、主に陸上自衛隊の部内資料を基に検討を試みた。すると以下の問題点が浮かび上がり、現在検討されている島外避難の非現実性が明らかになった。
① 武力攻撃予測事態以前から敵*3による港湾への妨害が始まる。
② このため国民保護法の発動を待っての船舶による島外避難は間に合わない懸念がある。
③ その一方で、敵の利用を阻止するため、陸自は我が港湾の破壊を検討している。
④ 港湾破壊対象の優先度1位は与那国島。
⑤ 「与那国町避難実施要領のパターン」(以下「与那国町避難実施要領」)*4で島外避難先とされている石垣島も港湾破壊の対象とされている。
以下、こうした事態となる理由について、陸自部内資料から明らかにしていきたい。
*1 NHK NEWS WEB「台湾有事の住民避難 “空港や港の機能拡充を検討”官房長官」(2023年7月23日 16時59分)。
*2 「ニュース短信:国民保護の問題点を隠す防衛省」。
*3 ここでいう「敵」は中国を念頭に置いていることは間違いないが、陸自部内資料は特定の国名を挙げていないので、本稿では敢えて「敵」と表記、場合によっては「中国」と表記する。
*4 (資料番号:23.8.21-1)「与那国町避難実施要領のパターン」(2023年3月31日 与那国町)。沖縄県与那国町が国民保護法に基づき作成した避難実施要領。なお資料番号とは、資料の整理・保存の便宜上、本会が任意で付けた番号である。
(小見出し)
はじめに
1.国民保護の盲点をついた島外避難への妨害
(1) 存立危機事態でも国民保護措置は実施できる
(2) 中国漁船等による港湾への妨害
2.港湾奪取の重要性
(1) 島嶼侵攻において狙われる港湾
(2) 港湾奪取の要領
3.どの港湾が破壊されるのか?―施設科部内研究
(1) 作戦教範が認める我が港湾の破壊
(2) 破壊対象となる港湾は?
4.戦史が教える「軍隊の抵抗が激しいほど住民被害が増える」
(1) 自衛隊による国民保護の限界―第1追加議定書からの制約
(2) 島嶼戦はどこも前線
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【関連ニュース】
「有事には港湾・空港を破壊して敵の利用を拒否―陸自教範『離島の作戦』に明記」 *ここをクリック
「有事には南西諸島の民間港を陸自が破壊…敵の利用を阻止―陸自施設科部内検討」 *ここをクリック
「防衛省 有事に備え『徴用』対象者の拡大を検討中―防衛省部内資料が開示」 *ここをクリック
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