防衛官僚が作成した、稲田防衛大臣 都議選応援演説 問題 発言の言い訳
- 軍事問題研究会編集
- 2 日前
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2026年4月12日に開催された自由民主党の第93回党大会で、陸上自衛隊中央音楽隊の三等陸曹が君が代を斉唱したことが、自衛隊の政治的中立の観点から物議を醸している。
この状況を鑑み、本紙バックナンバーを改めて紹介したい。
『軍事民論』第632号(2019年5月8日発行)…7頁
防衛官僚が作成した、稲田防衛大臣 都議選応援演説 問題 発言の言い訳
自衛隊と政治を巡るスキャンダルとして防衛大臣の辞任につながったのが、東京都議選において自民党候補を応援する集会(2017年6月27日)で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としても、お願いしたいと思っているところだ」と訴えた稲田 防衛大臣(当時)の問題発言であった(時事ドットコムニュース)。
この時のメディアの追求に備えて防衛省が作成した想定問答集が、「稲田防衛大臣 都議選応援演説御発言関連想定集」(以下「想定集」)であった(本会の情報公開請求により防衛省が開示)。
ここで書かれているQ&Aは、自衛隊と政治の関係について防衛省の見解が示されていて興味深い内容となっている。
そこで本号では、自衛隊と政治の関係に特に焦点を絞った「総論」から一部を抜粋・紹介する。
今年に入り、安倍政権の緩みが出たのか、問題発言で閣僚の辞任が続いた。予定されている参議院選挙を巡り、稲田発言のような問題発言が飛び出す可能性もあり、本資料を紹介する次第である。
なお本資料が作成されたこと自体、問題があると指摘できる。想定集にもある通り、稲田氏の問題発言は「自民党衆議院議員として、候補者の応援演説を行」った中で飛び出したものであるからだ。
今回のように防衛行政に関係ない、大臣の「政治活動の一環として行った」(想定集)ことから生じた問題の「言い訳」を役人に作らせたことは、まさに行政の私物化と言えるものである。

【「稲田防衛大臣 都議選応援演説御発言関連想定集」目次】
(総論)
問1 今回の発言は、防衛省・自衛隊が組織ぐるみで特定政党の候補を応援しているとの印象を与える上、政治的中立性の観点から問題ではないか。
更問 防衛大臣は、戦前の軍の政治介入への反省に鑑み、政治的中立を特に厳しく認識すべきではないのか。
問2 総理や官房長官に報告したのか。総理や官房長官からはどのような発言があったのか。
問3 稲田大臣は、発言を撤回したとのことだが、発言のどの部分を撒回したのか。
更問 「防衛省・自衛隊とも連携のある候補だ。ぜひ2期目の当選をお願いしたい」との発言は撤回しなくて良いのか。
問4 昨日の会見で菅官房長官は、27日深夜のぶら下がりで大臣が謝罪をしたと述べていたが、大臣も謝罪をしたとの認識か。
更問 27日深夜の記者会見のどの言葉が謝罪だったのか。
問5 大臣は、「地元の皆様方に対する感謝を伝える一環として、そういう言葉を使った」と述べているが、「防衛省・自衛隊、防衛大臣」としてお願いしたいとの発言から、そのような感謝の意味を読み敢ることは難しいと考えるが、大臣の見解如何。
(法令違反)
問6 憲法第15条第2項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」とされており、今回の発言は憲法違反なのではないか。
問7 国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範においては、「国家公務員の政治的中立性を確保し、」「国務大臣等(内閣総理大臣その他の国務大臣、副大臣及び大臣政務官をいう。)は、国民全体の奉仕者として公共の利益のためにその職務を行い、公私混淆を断ち、職務に関して廉潔性を保持することとする。」とされているが、今回の発言は、同規範に抵触するのではないか。
問8 今回の発言は、政治的行為を制限する自衛隊法第61条に違反するのではないか。
更問1 今回の発言を自衛隊員が行えば自衛隊法第61条違反になるのではないか。
更問2 大臣も自衛隊の責任者として、自衛隊法の規定を遵守すべきではないのか。
問9 大臣は「防衛大臣として」特定の候補者への投票を呼び掛けていることから、演説は公務として整理されるのであり、自衛隊員が上官の職務上の命令に忠実に従わなければならないことを定めた自衛隊法第57条により、自衛官は当該候補者への投票を行わなければならないのではないか。
問10 今回の発言は、公務員の地位を利用した選挙活動を禁ずる公職選挙法第136条の2に違反するのではないか。
更問 小池東京都知事は、大臣の発言について、「ありえない。都庁で(職員に)候補をよろしくみたいな話につながってくる。混同しない方がいい」と述べているが、大臣の見解如何。
(過去の類似事例)
問11 平成24年1月に真部沖縄防衛局長が選挙を促す講話を行ったとのことで、懲戒処分を受けたが、その対応と今回の対応との整合性如何。
問12 かつて自民党は、2012年の民主党時代に前田国交大臣に地位利用の疑いがもたれた際に、参議院の問責決議案を可決し、辞職を要求していたが、その対応との今回の対応の整合性如何。
(大臣の資質)
問13 稲田人臣は、過去の雑誌への寄稿や、森友学園をめぐる問題や南スーダンPKOの日報問題など、その発言が国会等で問題視されてきたが、大臣としての資質に問題かあり、辞任すべきではないか。
問14 民進党の蓮舫代表は、選挙応援で自衛隊を組織的に利用するかのような発言は「自衛隊の士気にも関わる」との批判を行っており、実際に防衛省内部からも批判の声があがっていると報じられている。大臣の発言は、自衛隊の士気にマイナスの影響を与えているのではないか。
(その他)
問15 閉会中審査や、臨時国会の早期開会により、本件について国会において説明すべきではないか。
問16 都議選への影響如何。自らの責任をどのように考えているのか。
問17 大臣が発言を撤回するまでの間に期日前投票が行われており、また、実際に発言を聞いた聴衆に対して訂正をしたわけではないことから、大臣の発言は、期日前投票に影響を与えたのではないか。
問18 与党議員や防衛相経験者からの批判の声があがっているが、見解如何。
問19 稲田大臣、稲田大臣秘書官、稲田事務所秘書等から、練馬駐屯地を中心とした自衛隊関係者に対して、東京都議選に関して何らかの働きかけをしていないか。
以 上
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