『軍事民論』第737号(6月3日発行)…10頁
部内教育資料から見た自衛隊精神教育
【訓育ハンドブック】
海上幕僚監部が編纂した精神教育資料に「訓育ハンドブック」というものがある。
情報公開請求で偶然開示されたものだが、内容がなかなか面白い。海上自衛隊が旧海軍の伝統を意識して継承しようとしている努力が伝わる内容である。今年2月、海上自衛官による靖国神社への集団参拝靖国神社への集団参拝が発覚し物議を醸したが、このハンドブックを読めば、参拝が旧海軍の伝統の継承であることが理解できる。
ハンドブックは、編纂の理由を以下の通り説明している。
我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増し、海上自衛隊の任務が多様化しつつある中、我々にはあらゆる事態に即応し任務を完遂し得る「真に戦える」集団としての実力が求められている。
そして、海上自衛隊員として「真に戦う」ためには、充実した体力や気力、高い術科力等が求められるが、これらを真に発揮するためには任務遂行上、危険に際しても断じて揺るがない精神基盤を必要とする。ここに海上武人として不断の精神修養に努めなければならないゆえんが存在する。
本書は、海上自衛隊の各隊員に対し、自衛隊員に求められる精神基盤である「服務の本旨」及び「自衛官の心がまえ」を通じてその原点に立ち返るとともに、これまで連綿と受け継がれてきた伝統精神の中から「真に戦える」集団としての心構えなどを見出すべく、編さんしたものである。(後略)
以下、同ハンドブックが自衛官の精神基盤であるとする「服務の本旨」及び「自衛官の心がまえ」についての解説部分を抜粋・紹介する。
【「自衛官の心がまえ」作成の背景】
将来の幹部自衛官を養成する陸上自衛隊第98期一般幹部候補生BU課程(Bは防大卒、Uは一般大卒を意味する略称)での教授要領である「幹部自衛官の心構え及び初級幹部の地位・役割」から「自衛官の心がまえ」作成の背景について記述した部分を抜粋した。
【「精神教育 愛国心」】
陸上自衛隊第98期一般幹部候補生BU課程での教授要領である「精神教育 愛国心」から主要教育項目「国を守ることの重要性及び崇高さ」の箇所を抜粋した。
ここからは、使命達成のためには命を投げ出す覚悟が使命感であり、その根幹が愛国心であるという論理構造が読み取れよう。
【自衛隊教育における「大東亜戦争」】
陸自第32普通科連隊が、X(旧ツイッター)で「大東亜戦争」という用語を使ったことで物議を醸した(「陸上自衛隊の第32普通科連隊、公式Xで「大東亜戦争」と表現」)。
これを戦前回帰の文脈で捉える向きもあるが、そもそも旧軍人によって創設された自衛隊では、先の大戦を「大東亜戦争」と呼ぶのが共通認識なのである。その一例として、近年の海上自衛隊部内通信教育テキストに掲載されたものを抜粋した。
【陸上自衛隊幹部候補生課程『沖縄戦史』現地研修】
陸上自衛隊幹部候補生課程においては、「沖縄戦史を現地において教育し、追体験させることにより、戦場、特に国土戦の実態を深刻に認識させる。この際、使命感、責任感等を涵養し幹部自衛官としての資質を向上させる」ことを目的に現地研修が実施される。
同課程で毎年行われる沖縄県での現地研修の実施箇所の地図を掲載した。
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(関連情報)
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ニュース:日本軍、沖縄戦で「長期にわたり善戦敢闘」―陸自沖縄戦史現地教育 *ここをクリック
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