民間人の有事動員の手段と化す「予備自衛官補」制度 ―徴用態勢はここまで進んでいる―
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『軍事民論』第758号 (2025年7月1日) …6頁。
民間人の有事動員の手段と化す「予備自衛官補」制度
―徴用態勢はここまで進んでいる―
はじめに
自衛隊が隊員不足に悩まされていることは周知の通りだ。しかし「防衛力の抜本的強化を実現するに当たっては、自衛官の定員は増やさずに必要な人員を確保する」(「国家防衛戦略」(2022年12月16日)27頁)との方針の下、自衛隊業務のアウトソーシングが進んでいることはあまり知られていない。
自衛官の確保に向けて防衛省が設置した有識者検討会報告書(注1)では、「限りある人的資源を、第一線部隊をはじめとする優先度の高い分野に充てるため、業務の見直し、効率化の取組やアウトソーシングを含む抜本的な合理化を推進」(5頁)を提言する一方、「有事における業務継続性が担保できるかという懸念」(19頁)も指摘されている。
この提言を受けて防衛省は、「平時においては予備自衛官の身分を有しつつ部外委託された業務に従事し、有事においては、招集命令を受けて自衛官となることで、引き続き防衛省・自衛隊の業務に従事していただくような枠組みを実現」(注2)の検討を開始した。
これは詰まるところ、有事に民間人を動員(徴用)する代わりに予備自衛官を充てるという策だ。

そしてこの「枠組み」の一環として現在防衛省は、各事業者団体と予備自衛官の雇用を求める「申合せ」の締結を進めている。ただし予備自衛官の現員は32,451人(2023年度)(注3)に満たず、「有事における業務継続性が担保」できるほど存在しない。
その不足を満たすため同省が目を付けたのが、自衛官未経験者を予備自衛官に任用することができる「予備自衛官補」制度だ。これにより自衛隊法第103条第2項に基づかずに民間人を動員することを狙っているのである。
(注1) (資料番号:23.7.12-3)「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会報告書~人口減少社会にあって精強な自衛隊を創り上げるために~」(2023年7月12日)。
(注2) (資料番号:25.6.11-2)「人的基盤の強化に係る各種施策の進捗状況についてー有識者検討会報告書へのフォローアップー」(2024年1月 防衛省)23頁。
(注3) (資料番号:25.1.2-2)「第2回自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議(参考資料)」(2024年11月8日)3頁。なお定員は47,900人で充足率は67.7%。
【小見出し】
はじめに
「予備自衛官補」制度とは
台湾有事に足りない徴用対象者
事業者団体との「申合せ」に潜む「トロイの木馬」
徴用第1号はPFI船舶
おわりに
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