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平和的であっても中台統一は日本の「危機」!?―自民党保守派のホンネ

軍事問題研究会編集
8月23日
読了時間: 3分

 高市 総理の台湾有事「存立危機事態」答弁以降、我が国では中国による台湾統合に関する議論がかまびすしい。

 改めて基本に立ち戻ると、中台統一に関する日本政府の原則的な態度は、以下の2つに表れている。

① 「衆・平和安全特委 外相用 想定問(6月17日衆・平安委)」5頁。

 (国際法上、台湾は「自国と密接な関係にある外国」に当たり得るのかとの質問に対して)「我が国はサンフランシスコ平和条約第2条により,台湾に対する『すべての権利,権原及び請求権』を放棄しているので,台湾の法的地位に関して独自の認定を行う立場にはない。」

② 1972年11月8日衆議院予算委員会で当時の大平 外務大臣による以下の答弁(「第70回国会衆議院予算委員会会議録第5号」2頁)

 わが国は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するとの立場をとっております。したがって、中華人民共和国政府と台湾との間の対立の問題は、基本的には、中国の国内問題であると考えます。わが国としては、この問題が当事者間で平和的に解決されることを希望するものであり、かつ、この問題が武力紛争に発展する現実の可能性はないと考えております。

 ①については、台湾の帰属について日本は何か言う立場にないということを示している。また「台湾との関係に関する日本の基本的立場は、日中共同声明にあるとおり、台湾との関係について非政府間の実務関係として維持してきています」(外務省HP「よくある質問集 アジア」)としていることから、台湾を独立国家として承認していない。

 つまり国家承認していない場合は、「国際法上の主体である国家の間の関係は存在しない」(2006年6月16日内閣衆質164第322号)というのが政府統一見解であり、国家として承認していない台湾は、存立危機事態の認定の前提である「我が国と密接な関係にある他国」には該当しないことになる。なぜなら別の政府統一見解で、「我が国と密接な関係にある他国」とは、「一般に……我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すもの」(2015年7月21日内閣参質189第202号)と答弁しているからだ。

 また②は、中台問題は中国の国内問題であるので平和的な解決であれば日本政府としては介入しないという姿勢を示しているのだ。

 ところが鈴木 馨祐 衆院議員(自民党台湾政策検討プロジェクトチーム座長)がYouTube番組で、中台の平和的統一であっても日本の安全保障を脅かす危険があるので(重要影響事態や存立危機事態といった)事態認定をすべきであるとの旨の発言をしている。

 同議員によると、中国が平和的に台湾を統一した場合、台湾の東側に人民解放軍の潜水艦の基地ができると、米軍が西太平洋で展開できない状況になり、米軍がいないアジアになってしまう可能性があるので、「日本は生きていけなくなる」。そうさせない(平和的統一させない)ために事態認定を考えなければならないという。

 つまり、武力による台湾統一だけでなく、平和的な統一であっても、日本の安全保障上の重大な問題になり得るので、軍事的対応を可能にする事態認定が必要であるというのである。

 しかし、日本は台湾を独立国家として承認していない。それにもかかわらず、中台の平和的統一まで日本の安全保障上の「危機」として、事態認定によって自衛隊による軍事的対応を可能にするというのは、いったいどういうことなのだろうか。

 さらに、仮に台湾の民意に基づいて中台の平和的統一が実現しようとする場合(その可能性はゼロに近いと思われるが)、それを日本が軍事的対応によって阻止するというのは、台湾の民意を無視した内政干渉ではないだろうか?

 高市 総理の台湾有事「存立危機事態」答弁さえ抑制的に思えてしまう、鈴木 議員の主張である。

* 上記YouTube番組のURL及び当該発言時間については本会会員のみ配信済み。


 
 
 

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