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日本の航空戦力を敢えて過小に見せていないか?―2026年版『防衛白書』への疑問

軍事問題研究会編集
8月12日
読了時間: 4分

更新日:8月13日

(小見出し)

はじめに

なぜ「作戦機」から輸送機を除外

輸送機が含まれる台湾航空戦力 露は極東配備兵力限定なのに、なぜ中国は全兵力合計なのか?


はじめに

 古今東西を問わず、軍事力強化を狙う政府が国民に対して行うのが、敵の戦力は大きく、我のそれは小さいというプロパガンダだ。

 今年の『防衛白書』にもそうした傾向が見て取れるので指摘したい。

 「図表Ⅰ-1-3 わが国周辺における主な兵力の状況(概数)」(『白書』47頁)では、強大な軍事力を持つ敵対的な国家に我が国が囲まれているというイメージを読み手は受け取るのではないか。

 ただしここに示された数値を真に受けてはいけない。印象操作が加えられているからだ。

 この図表の注意書きには「2 日本については令和7(2025)年度末における各自衛隊の実勢力を示し、作戦機数は航空自衛隊の作戦機(輸送機を除く)および海上自衛隊の作戦機(固定翼のみ)の合計である」とあり、輸送機と回転翼航空機の数が除外されている。

 なぜ「作戦機」から輸送機を除外

 ところが輸送機は、防衛力整備上では「作戦機」に含まれるのである。

 そのことを定めているのが、「任務が消失し、又は任務の不適合が生じた航空機の取扱いに関する指針について(通達)」(防防計第7763号 19.8.15)である。同通達では、作戦機とは「『防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて』(昭和51年11月5日国防会議及び閣議決定)にいう作戦用航空機」であると定めている。この通達では、防衛力整備において作戦機とは、作戦用航空機を指すとしているのである。

 またこれに関連して防衛力整備に関する政府の基本計画である「防衛力整備計画」の別表3では、空自の作戦用航空機を約430機として、そのうち戦闘機を約320機としている。また海自については固定翼航空機以外の航空機も含んだ数を作戦用航空機として計上している。

 つまり『白書』がいう「作戦機」(「防衛力整備計画」では「作戦用航空機」)とは、「防衛力整備計画」では戦闘機に限らないのだ。

 また海自厚木航空基地HP「部隊紹介」では、「航空集団は、……作戦用航空機(固定翼・回転翼航空機)を運用し」とあり、『白書』が除外している回転翼航空機も作戦機に含めている。

 『白書』資料編「資料9 主要航空機の保有数・性能諸元」(54頁)によると空自戦闘機の合計が344機、海自固定翼航空機の合計が71機(いずれも2026年3月31日現在)であり、両者を合わせて415機となる。従って、「図表Ⅰ-1-3」で示されている390機は(誤差を考慮しても)空自戦闘機と海自固定翼航空機の合計と見られる。

 そこで問題となるのが、他国の航空戦力も日本と同様に空軍戦闘機と海軍固定翼航空機の合計なのかということだ。

 まず北朝鮮だが、「図表Ⅰ-1-3」では550機保有しているとしている。

 これについて『白書』本文では、「航空戦力は、約550機の作戦機を有しており、その大部分は、中国や旧ソ連製の旧式機であるが、MiG-29戦闘機やSu-25攻撃機といった、いわゆる第4世代機も少数保有している。また、旧式ではあるが、特殊部隊の輸送に使用されるとみられるAn-2輸送機を多数保有している」(116頁)と説明している。この記述からは作戦機約550機にAn-2輸送機が含まれているようにも読み取れる。もし含まれていないなら「また」を「これに加え」「これ以外にも」と書き換えた方が誤解がなかろう。

 北朝鮮については「疑い」レベルだが、一方で「疑い」では済まないのが中国と台湾だ。なぜなら両国の戦力の算定方法が日本と異なっていると言わざるを得ないからだ。


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