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中国人民解放軍の着上陸作戦に対して台湾軍が抱える問題点―防研部内研究より

軍事問題研究会編集

更新日:2024年11月27日

『軍事民論』第682号(2021年11月25日発行…7頁

中国人民解放軍の着上陸作戦に対して台湾軍が抱える問題点―防研部内研究より

 近年、台湾有事の危険性が盛んに喧伝されている。

 今年3月6日に開かれた米上院軍事委員会公聴会において、デービッドソン米インド太平洋軍司令官が、6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性があると証言したことは、我が国にも衝撃を与えた。

 これを裏付けるかのごとく、中国による台湾への軍事圧力も今年に入り急激に強まっている。中国軍機による台湾の防空識別圏への侵入は、2020年9月16日~10月31日までに述べ76機だったのが、2021年4月5日~5月15日間では113機にまで増加している(防衛研究所『NIDSコメンタリー』第168号〔2021年6月8日〕)

 こうした中国による防空識別圏への頻繁な進入に台湾軍は耐えきれず、スクランブルによる対処を諦め、地上からの監視に変更したことを台湾国防部は立法院(国会)で明らかにしている(「台湾海峡にらみ合う大国」2021年6月6日付『朝日』第14版第1面)

 台湾海峡両岸の軍事的緊張は我が国の安全保障に重大な影響を及ぼすため、防衛省・自衛隊はこの現況に大変な関心を寄せている。その一環として同省のシンクタンクである防衛研究所がまとめた部内研究報告が、「中国人民解放軍の統合作戦能力に対する台湾側の評価と対応手段の研究(防衛研究所令和2年度基礎研究成果報告書)である。本会の情報公開請求により防衛省が全文を開示した。

 同研究で注目すべきは、台湾側が中国人民解放軍(以下「中国軍」)の侵攻に対処していこうとする場合に「表出すると考えられる問題点や弱点を洗い出す作業を行った」(報告書ⅰ頁)成果がまとめられている点だ。

 本号では同研究から特に、中国軍による台湾侵攻の迎撃とその際の台湾軍の統合作戦を巡る問題点の分析を試みた「第3章 台湾軍が抱える問題点」を抜粋した(原文の脚注は省略している)

 またこれに加え、中国軍の着上陸作戦能力を分析した台湾軍の以下の文献(いずれも陸上自衛隊基礎情報隊が翻訳)の抜粋も掲載した。

 「中国の軍改革後の陸軍砲兵部隊の現況と台湾の防衛作戦に対する影響(陸自基礎情報隊 作成年月日:2020年4月23日)からは、砲兵部隊の特徴を分析した箇所を抜粋した。ここでは着上陸作戦における砲兵部隊の役割が詳述されている。

 また「中国軍の着上陸作戦における障害処理能力の研究(陸自基礎情報隊 作成年月日:2020年5月28日)は、中国軍の着上陸作戦方式と部隊現況を分析したもので、ここから着上陸作戦の手順を解説した箇所を抜粋した。

 これら文献を通じて読者が、中国人民解放軍の着上陸作戦の手法と、これに対抗する台湾軍が抱える問題点を理解できれば幸いである。


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