反撃ミサイルの発射で鉄の塊が住宅に落下する
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『軍事民論』第783号(2026年6月10日発行)…6頁
反撃ミサイルの発射で鉄の塊が住宅に落下する ―ブースター被害はイージス・アショアより危険―
(掲載記事①)
「反撃ミサイル」ブースター被害の危険
弾道ミサイルから我が国を24時間・365日、切れ目なく守るためとして計画されていたイージス・アショアの配備が断念された理由は、発射後に分離されるブースターが周辺住宅に落下する危険があるということであった。
今年3月末に健軍駐屯地及び富士駐屯地に配備が完了した反撃のためのスタンド・オフ・ミサイルにも、同様な危険があることが防衛省の部内資料から明らかになった。にもかかわらず、防衛省の地元向け説明資料(例えば(資料番号:26.3.7-2)「健軍駐屯地におけるスタンド・オフ・ミサイル配備についてQ&A」(2026年1月更新 九州防衛局))にはこの危険について一切言及されていない。
配備されたのは、「25式地対艦誘導弾」(旧名「12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)」)及び「25式高速滑空弾」(旧名「島嶼防衛用高速滑空弾」)で、いずれも研究開発の完了を受けて現行の名称に変更された。
これらミサイルは、イージス・アショアと異なり移動式で、住宅地(本号6頁掲載のQ&A参照)にも展開するので、ブースターが周辺住宅に落下する確率はイージス・アショアの比ではないことは容易に想像が付こう。
落下するブースターが100㎏以上の根拠
まずブースターの重量であるが、最低でも100㎏以上あることは確実である。
ブースターの重量等が公表されたものとして、イージス・アショアに搭載予定であったSM-3ブロックⅡAがあり、直径:約53㎝、長さ:約170㎝、重量:200㎏強だ。

25式地対艦誘導弾は12式地対艦誘導弾の長射程・能力向上を図ったもので、12式地対艦誘導弾は更に「88式地対艦誘導弾」の後継であった(88式地対艦誘導弾→12式地対艦誘導弾→25式地対艦誘導弾へと発展)。
88式地対艦誘導弾の艦載型として開発された「90式艦対艦誘導弾(B)」の「制式要綱」(仕様書の一種。本文には出典のリンク付き)では、重量(正確には質量)についてブースタ付で660kg、ブースタなしで550kgとあるので、ブースターの重量が110㎏であることが分かる。
25式地対艦誘導弾の寸法等について防衛省は公表していないのだが、88式地対艦誘導弾より遙かに射程を延長しているので、ブースターはより大型化しているのと推測され、重量も増加していることは間違いない。
また25式高速滑空弾についても防衛省は寸法を公表していないが、信頼できる分析によれば直径90cm級の太さのブースターであるという(本文には出典のリンク付き)。であれば、SM-3ブロックⅡAのブースターの重量を遙かに超えるものと推測される。
これらミサイルはイージス・アショアと違って、発射は演習場内に限定されないのである。
ブースター落下の危険を認識していた防衛省部内資料
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(掲載記事②) 国産スタンド・オフ・ミサイル早期整備に関する防衛省対外想定(抜粋)
国産スタンド・オフ・ミサイルの配備が当初の計画より1年前倒しされたことを受けて作成された対外想定問答のうち掲載記事①で紹介した資料以外から、メディアで紹介されていない内容(Q&A)を抜粋・紹介する。以下は掲載した「問」の一覧である。
問 12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)は、なぜ、健軍駐屯地と富士駐屯地に配備するのか。
問 島嶼防衛用高速滑空弾は、なぜ、富士駐屯地、上富良野駐屯地及びえびの駐屯地に、配備するのか。
問 地元の理解が得られなかった場合、配備は行わないのか。
問 地上装置の台数。
問 島嶼防衛用高速滑空弾は教育の観点から特科教導隊に配備するとのことだが、12SSM能力向上型の教育要領はどのように検討するのか。
問 島嶼防衛用高速滑空弾は教育部隊に配備するとのことだが、実運用の観点からは運用能力の獲得とは言えないのではないか。
問 12SSM能力向上型と同様に運用に専従する部隊に配備すればよいのではないか。
問 12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型)の運用開始に伴い、部隊改編や施設整備等は行うのか。
問 12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)を運用する部隊は、住宅地や農地に展開して運用する可能性もあるのか。
問 12式地対艦誘導弾能力向上型(空発型)の発射母機となる、F-2能力向上型はどこに配備するのか。
問 富士駐屯地での「実践的な運用」は、具体的にはどのようなことか。駐屯地周辺へ何らかの影響が生じるのではないか。
以 上
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