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空自航空戦術教導団研究が明らかにした移動式ミサイル・ランチャー攻撃戦術

  • 軍事問題研究会編集
  • 2月24日
  • 読了時間: 4分

『軍事民論』第774号(2026年2月27日)・・・7頁

空自航空戦術教導団研究が明らかにした

移動式ミサイル・ランチャー攻撃戦術


 はじめに

 いわゆる安保三文書(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)によりスタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力を構築することが自衛隊の任務となった。

 この能力を防衛省は、敵の移動式ミサイル・ランチャー(以下「TEL」:Transporter Erector Launcher)を破壊するために使用すると喧伝している。

 同省HPの説明図(スタンド・オフ防衛能力ってなに?)では、我が方のスタンド・オフ・ミサイルをもって敵のTELを破壊することになっているが、この図のように敵のTELを直接破壊することはまず不可能だ。

 スタンド・オフ(stand-off)とは「敵の射程外」を意味し、必然的に敵より長い射程が求められる。当然のことながら、射程が長いほど、発射から着弾までにタイムラグが生じる。弾道ミサイルの場合、射程600㎞程度であれば着弾までに約6分、1000㎞程度であれば約10分かかる*1。従ってTELが移動中であれば、着弾する頃には破壊範囲外にいるし*2、仮にその場に留まっていたとしても、着弾前にミサイルを発射する余裕は充分あるのである。

 この問題を航空戦力を用いてどう「解決」するかについて航空自衛隊航空戦術教導団がまとめた研究が、「戦術的な航空作戦に関する研究(その6)最終報告」(戦術団研第5号(令和7年2月27日)別冊)だ。

 この研究も不開示による黒塗りが多いのであるが、幸いにして引用文献が開示されていたため、そこからかなりの内容が推測できた。本号では、引用元の内容を紹介しながら、空自のTEL攻撃戦術を探っていきたい。

 この研究では、反撃においてTELの直接破壊を狙わず、周辺を破壊することでTELの不能を図ること―まさに「将を射んとせばまず馬を射よ」―を提唱している(具体的内容は後述する)。ただしこの戦術は、巻添え被害(Collateral damage)を前提にしており、その見積もりについても検討課題としているのだ。

*1 「弾道ミサイル防衛(BMD)について」(2003年8月 防衛庁)5頁。

*2 TELの移動速度が時速20kmであったとしても、100m移動するのに20秒しかかからない。通常弾頭であれば、着弾点から100mも離れれば破壊できない。(資料番号:07.6.12-1)「大量破壊兵器を搭載した弾道ミサイルの脅威下における専守防衛の在り方」(防衛研究所平成16年度防衛研究所特別研究)36頁。なお資料番号とは、資料の保存・整理のために本会が任意で付けた番号である。


1 航空作戦の区分

 本題に入る前に、空自の戦略~戦術体系における「反撃」の位置付けについて紹介しよう。

 国家防衛戦略においてスタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力が明記され、能力獲得が急務となった。これらには装備品の取得のほか、作戦区分や実施要領等の明確化による実施態勢の構築が必要であることから、2023年に統合教範の全面的改訂が行われ、「防空作戦」が廃止された。新たに定められた統合教範「対航空作戦」によって、「反撃」は対航空作戦における「攻勢対航空」と解釈することができるようになった。

(小見出し)

はじめに

1 航空作戦の区分

(1) 攻勢対航空(Offensive Counterair:OCA)

① Attack Operations(攻撃作戦)

② SEAD(敵防空網制圧)

③ Fighter Escort(戦闘機による護衛)

④ Fighter Sweep(戦闘機による掃討)

(2) 防勢対航空(Defensive Counterair:DCA)

① 能動的防空・ミサイル防衛

② 受動的防空・ミサイル防衛

(3) 統合防空ミサイル防衛

(4) 国家防衛戦略における「反撃」と「迎撃」の違い

2 将を射んとせばまず馬を射よ―移動式ランチャーの場合

3.スタンド・オフ・ミサイルによるOCAの具体化

(1) 命令・統制関連

(2) 攻撃に関する三原則の履行基準・指針の策定

4.反撃能力の戦力発揮に向けた課題

(1) ドクトリン及び規定の改正

(2) キルウェブ(kill web)の構築

(3) スタンド・オフ・レンジ

 おわりに―平時の日米ターゲティング協力


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