昭和の「ご飯論法」 外務省「すれ違い解釈」―極秘文書が示すその手法
- 軍事問題研究会編集
- 4 日前
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近年の国会質疑における政府答弁が、野党の追及をかわすために論点をずらしたり、ごまかそうとする傾向を揶揄して「ご飯論法」と言われるようになって久しい。
この「ご飯論法」の手法を外務省が「すれ違い解釈」と称していたことが、本会の情報公開請求により同省が開示した極秘文書から明らかになった。
その文書が、「在日米軍経費問題」(昭53.9.25 外務省アメリカ局)である同文書は、「思いやり予算」を巡る問題点を整理した文書である。
「思いやり予算」とは、日米地位協定第24条第1項で定める「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、(中略)この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」(日本側の分担経費を除く米軍の維持に伴う経費は米国側負担)と定めているにもかかわらず日本側が肩代わりするための予算だ。
同予算により、駐留軍等労働者の労務費については昭和53(1978)年度から、提供施設整備費については昭和54(1979)年度から、日本側がそれぞれ新たに負担することになった(『防衛施設庁史』「第3節 在日米軍駐留経費負担の開始」)。
同文書によれば、問題が認識されていたのが、昭和54年度に予定された横田及び厚木基地内での家族住宅の新築建設に対する支出であった。
これは、地位協定第24条に基づく日本側による施設の提供については、代替の範囲を超える新築を含むことがないように措置するとの大平外務大臣答弁(昭和48(1973)年3月13日衆議院予算委員会)との整合性が問われていたのである。
なぜなら本来存在しなかった住宅を新築して提供することは、大平答弁でいう「代替の範囲を超える」ことになるからだ。この点の整合性については地方自治体は現在も疑問を投げかけている(「米軍施設についての法的側面からのアプローチ」(平成25年12月3日 横浜市会議会局政策調査課)21頁)。
ところが同文書によれば、これについて整合性の問題は全く生じないというのだ。
なぜなら「大平答弁の意味は、代替関係のある基地内建設について、代替という建設の性格上代替の範囲を越えることはないということを述べたもの(代替建設ということを口実にして基地の強化を進めるということはしないということ)であつて、大平答弁は、そもそも代替関係のない建設の如き場合(今般の横田、厚木の例)に触れたものではないとの説明」(同文書4~5頁)であるというからだ。
そこで野党の追及に対しては、「野党側は、このような場合にも大平答弁の適用があると考えているとみられるので、上記の政府の説明は、いわぱ野党側に対してすれ違い解釈を以て対抗しよう」(5頁)というのである。まさに「ご飯を食べたか」の質問に「(パンを食べたので)食べていない」と回答するご飯論法の手法を用いて野党の追及をかわす方針を示しているのだ。
全くもって国民に対して説明責任を果たさない不誠実な態度と言わざる得ないが、同文書はまるで意に返さない。なぜなら「このような考え方で対処することとすれぱ、従来やらなかつた施設関係の施策が長期的に可能となり米側が極めて高く評価するものと考えられる」(5頁)からだ。
自国民よりも米国の顔色をうかがい、そのためには論理のすり替えもいとわないとする外務省の姿勢は、昭和の時代から現在まで連綿と続いているのである。


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