『軍事民論』第727号(2024年1月9日)…5頁
台湾支援を巡る米国議会の動向―防研部内研究より
従来から中国による台湾武力統一に対する米国政府の態度は、侵攻への軍事介入の有無を明確にしない「戦略的曖昧さ」(曖昧戦略)であったことは知られている。
その一方で、この問題に関する米国議会の動向について我が国に紹介されることは少ない。
防衛省・自衛隊のシンクタンクである防衛研究所がその動向についてまとめた部内研究(右がその表紙。ここをクリックすると抜粋(PDFファイル)がダウンロードできる)が、本会の情報公開請求により、最近防衛省が開示したので紹介したい。
本報告書には日付がないが、本研究の実施期間は2022年4月~2023年3月(「令和4年度調査研究実施報告書」(防衛研究所)98頁)。また開示請求は2023年6月だったので、この時点では完成されていた。
以下、本報告書の第2章1~2を抜粋・紹介する。なお原本の脚注は全て省略した。
【その他掲載記事】
日米ガイドラインと柔軟抑止選択肢(FDO)―空自幹部の論考
2015年4月に改定された日米ガイドライン(「日米防衛協力のための指針」。以下『指針』)は、同盟調整メカニズムを通じて「柔軟に選択される抑止措置及び事態の緩和を目的とした行動を含む同盟としての適切な対応を実施するための方法を立案すること」を日米間で取り組むことを定めた。
この柔軟に選択される抑止措置とは、正文(英文のみが正文)では「flexible deterrent options」といい、自衛隊隊内誌などでは「柔軟抑止選択肢」(以下「FDO」)と訳されている。
このFDOはメディア等で取り上げられることがないため、世間の注目を集めることがないが、これに関連する特定秘密指定の通達が制定されるほどの防衛省・自衛隊にとっては重要な取組なのである。
最近、航空自衛隊幹部学校の研究誌にFDOと日米ガイドラインとの関わりについて興味深い論考が掲載された。政治的にセンシティブな『指針』について制服幹部が言及することは珍しく、しかもFDOについてを取り上げているので紹介したい。
【関連バックナンバーのご紹介】
『軍事民論』第715号 *詳細はここをクリック
(掲載記事)
ウクライナ紛争から台湾有事へのインプリケーション―航空自衛隊幹部学校航空研究センター部内研究メモより―
『軍事民論』第710号 *詳細はここをクリック
(掲載記事)
水陸両用車(AAV7A1)の性能・諸元―陸自訓練資料「水陸両用車(仮称)(試行案)」より
中国軍の着上陸作戦における障害処理行動の弱点
ペロシ米下院議長訪台(2022年8月)に伴う第4次台湾海峡危機での中国軍事演習の狙い
『軍事民論』第703号 *詳細はここをクリック
(掲載記事)
台湾海峡における戦争を望む3つのグループ―米外交専門誌『The Diplomat』記事より
中国の核戦力増強が与える影響―空幹校の論考
米シンクタンクによる台湾東沙島占領を想定したウォーゲーム
ペロシの台湾訪問に対する戦略的問題
米国による台湾への武器売却に関する中国国際放送局報道
『軍事民論』第682号 *詳細はここをクリック
(掲載記事)
中国人民解放軍の着上陸作戦に対して台湾軍が抱える問題点―防研部内研究より
『軍事民論』第680号 *詳細はここをクリック
(掲載記事)
台湾有事は核戦争・・・そして米の核の傘は届かない―統幕学校部内研究が想定
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