米軍ヘリが茅ヶ崎の海岸に不時着した事故で、ヘリ周辺には米軍関係者以外近づけないと報じられています(FNNプライムオンライン)。
これは、2019年に改正された「日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン」に明らかに反するものです。
当時改正に関わった河野 外務大臣は記者会見で、「日米双方の事故調査に必要な人間が,直ちに内周規制線の中に入ることができるように両政府で合意をいたしましたので,これまで度々指摘されてきた以前のようなことはなくなります」(河野外務大臣臨時会見記録(2019年7月25日(木曜日)17時45分 於:本省中央玄関ホール))と発言しました。
この問題を取り上げた本誌第652号(2020年6月29日発行)を改めてご紹介申し上げます。
外務省部内資料に見た「米軍機事故ガイドライン」の隠された解釈
―外務省が日本側の権利を狭めて解釈するその真意―
2019年7月25日に「米軍機事故ガイドライン」の改正が、日米間で合意された。同ガイドラインは、沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故(2004年)を契機に、翌2005年に策定された。昨年の改正は更なる運用改善を目指したものと説明されている。
この改正について河野外相(当時)は記者会見で、「日米双方の事故調査に必要な人間が、直ちに内周規制線の中に入ることができるように両政府で合意をいたしましたので、(中略)以前のようなことはなくなります」と述べ、事故時に米軍が現場を封鎖して日本の当局者を近づけないといった事態は今後起こらないとの認識を示した。
果たしてこの発言は本当であろうか?
外務省解釈への疑問①―内周規制線を巡る同意を米側は確約したのか?
本会は、同ガイドラインが改正された際にこれに関連する行政文書の情報公開請求を外務省に行い、最近それらが開示された。
開示された部内資料のうち外相発言に疑問を投げかける資料が見つかった。それが同省が同ガイドライン改正に備えて作成した対外想定問答集である「米軍機事故ガイドラインに関する日米合同委員会合意(2005年4月1日)の改正(基本想定集)」だ。
ここには、外相発言にはなかった模擬回答が隠されていたのである。それが、「内周規制線内(制限区域内)への立入りに米側の同意がいることは変わらないのではないか」と、「本来、日米双方の同意と規定されているのであれば、日本側も米側の立入りを拒否することができるのではないか」との問いに対する回答だ。
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