『軍事民論』第732号(2024年3月28日発行)…8頁
『解放軍報』が見たF-35戦闘機の欠陥―空幹校航空研究センター『研究瓦版』より
2019年4月9日、米国から導入したばかりの最新鋭戦闘機F-35Aが三沢基地(青森県)東方約135㎞付近の洋上に墜落した。
この事故原因について航空自衛隊は、操縦者の「『空間識失調』(平衡感覚を失った状態)」(注1)にあったと結論付けた。
この墜落原因については同機の欠陥を指摘する意見もあったが、防衛省が本格的にそれを検証することはなかった。同省は当時既に米国からの同機の「爆買い」を決定しており、機体の欠陥を検証することにより、調達が遅延することを嫌ったことが背景にあるのではないかとの見方もあった。
最近、中国中央軍事委員会の機関紙である『解放軍報』がF-35の欠陥について取り上げた記事を掲載しており、これに注目した航空自衛隊幹部学校航空研究センターが『研究瓦版』と題する部内向けの研究報告にその要約を掲載した。
その研究報告によると『解放軍報』に掲載された記事では、F-35の欠陥として以下の指摘がなされているという。
① 航空事故が頻発(同時に飛行停止、新造機の出荷遅延等も発生)
② F-35部隊の低い任務能力率(全世界のF-35は半数が非可動)(注2)
③ 部品待ちが常態化、非効率な整備
④ パイロットや整備員の養成が不十分(注2)、極度の疲労下での勤務
⑤ 設計上の欠陥(900件以上、世界各地で不具合が多発)
⑥ F135エンジンに重大な問題(軽微な不具合で全機非可動となる可能性)(注3)
⑦ アップグレード経費の高騰(改修時期の後ろ倒し)
⑧ 軍側と軍需企業間の連携不良、米軍需企業の利権争い
本号では、それら『解放軍報』記事の要約箇所を抜粋・紹介する。
(注1) 「F-35A戦闘機墜落事故の要因と再発防止策について」(2019年6月10日 航空幕僚監部)2頁。
(注2) この点については本会ニュース「F-35の整備が追いつかなくなる―ネックは整備員の英語力」でも取り上げている。*ここをクリック
(注3) この点については次のような記事がある。“Pratt & Whitney's New Fix for F-35 Engine Issues Will Allow Deliveries to Resume," Feb. 28, 2023.
(機体の問題を指摘した記事)
F-35という戦闘機
―空自隊内誌『飛行と安全』より―
航空自衛隊では、「隊員の安全知識の向上と安全意織の高揚を図り、編制単位部隊等における航空事故及び地上事故の防止に資することを目的」に『飛行と安全』(編集:航空安全管理隊)という隊内誌(月刊)が発行されている。
2022年4月号に掲載されたF-35を取り上げた以下の記事から、その操縦特性に関する箇所を抜粋・紹介する。 □ 頒価 ¥300円(前金制)
下記本会口座までご入金戴くと共に、本会アドレス(ttn5rhg28d@mx2.ttcn.ne.jp)まで「『軍事民論』第732号注文」とお申し付け下さい。
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