以前から本誌では、我が国の「反撃能力」が他国防衛―集団的自衛権行使―に使用されると指摘してきたが、政府は今年の『防衛白書』でとうとうそれを認めた。
白書は、「反撃能力」に関する解説コラムを設け、「反撃能力は存立危機事態において行使しうるのですか?」との問いに対して以下の通り説明している(214頁)。
事態(引用者注:存立危機事態)認定後の反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して、「武力の行使」の三要件に基づき、弾道ミサイルなどによる攻撃を防ぐために、他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、いかなる措置をとるかという観点から、個別具体的に判断することとなります。
本誌で何度も指摘してきたが、存立危機事態は我が国平時でも認定される。我が国が攻撃されていなくとも敵基地攻撃を行うことを日本政府は公に宣言したのである。
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