昨年12月に策定された、いわゆる安保3文書の閣議決定後の記者会見の冒頭発言で岸田 総理は、「各種事態を想定し、相手の能力や新しい戦い方を踏まえて、現在の自衛隊の能力で我が国に対する脅威を抑止できるか。脅威が現実となったときにこの国を守り抜くことができるのか。極めて現実的なシミュレーションを行いました」(2022年12月16日「岸田内閣総理大臣記者会見」)と説明、安保3文書が新たに保有を決定した反撃能力等がシミュレーションに基づく結果であることを明らかにした。
そこでこの「現実的シミュレーション」の概要を知るべく、3文書の主管庁である内閣官房国家安全保障局に対して関連文書の情報公開請求を試みた。
結果は、全文不開示というものであった。
開示決定通知書によると、関連文書は3種類の行政文書ファイルに綴られているようであるが、個々の文書名どころか、行政文書ファイルの名称も一切明らかにされていない。
我が国の戦後防衛政策の一大転換の根拠となるシミュレーションは、いかなる前提で行われ、その結果はどのようなものであったのか、その妥当性を検証する上でも、概要を明らかにすることは政府の責任であると言えよう。
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