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軍事問題研究会編集

日本とソマリアが中東派遣航空隊の領空飛行で密約―外務省が認める

 中東地域における日本関係船舶の安全確保のために、海賊対処と共に当該地域の情報収集活動を行っていた派遣航空隊(派遣海賊対処行動航空隊(第39次要員))が、ソマリア領空を飛行していたことが、本会の情報公開請求により昨年明らかになった(2023年11月29日(水)配信「中東派遣自衛隊がソマリア領空侵犯?―任務終了報告に飛行記録)」)

 国際法上、他国の領空を通過する際には当該国の同意を必要とする。

 そこでその同意を取っていたのか、外務省に情報公開請求をしたところ、同国に対して領空通過許可手続を取っていたことを認めたのだ。

 ソマリアの同意があったのかを確認するため今年6月、本会は外務省に対して以下の情報公開請求を行った。


 派遣海賊対処行動航空隊がソマリア領空を飛行するに当たって同国の同意を得たことに関して行政文書ファイル等に綴られた文書の全て。

〔請求趣旨〕派遣海賊対処行動航空隊の活動報告(裏面参照〔編集部注:本記事では省略〕)によると、同隊はソマリア領空を飛行しております。これに当たっては外交ルートを通じて同国の同意を得たものと思われますので、これに関する文書が行政文書ファイル等に綴られているものと思料致します。


 これに対して外務省総合外交政策局宇宙・海洋安全保障室から補正依頼のメールが届いた。趣旨は、請求内容が複数年度にわたるため1件の請求として扱うためには対象年度を絞って欲しいとのことであった。

 この補正のやりとりの中で同室は、「海賊対処行動に係る領空通過許可手続につきましては、一定の頻度で行われておりますので、今般の御請求に関しましては、『令和2年度に絞って対象文書を特定させていただく』ことといたします。」と回答したのであった

 このことから同国の同意を得た上で派遣航空隊が領空を飛行している事実が確定した。

 なお情報公開請求に対して同省は不開示決定を行った。ただし文書不存在(同意の事実がない)が理由ではなく、情報公開法第5条第3号に該当するためというのが理由で同意の文書の存在は認めたのである。

 ただし同意を得たからといって一件落着ではない。ソマリア領空飛行は、閣議決定(注)で定められた活動の地理的範囲(オマーン湾、アラビア海北部及びバブ・エル・マンデブ海峡東側のアデン湾の三海域の公海(沿岸国の排他的経済水域を含む))を逸脱するもので、明らかに閣議決定違反なのだ。

 なぜ閣議決定を逸脱させてまでソマリア領空飛行認めたのか、政府は国民に説明するべきである。

(注)「中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する政府の取組について」(2019年12月27日 国家安全保障会議決定 閣議決定)


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