『軍事民論』第735号(4月30日発行)…5頁
米軍が規定する他国間共同作戦での指揮系統―防研部内研究より 岸田 総理が訪米し、そこで発表された「日米首脳共同声明」(4月10日)で自衛隊と米軍との指揮・統制の連携強化に踏み込んだことで、自衛隊が米軍の指揮下に入るとの批判を呼んでいる。
この問題を考える上で参考となる、米軍が他国との共同作戦の指揮系統についてどのような規定を定めているのかの詳細をまとめた防衛研究所部内研究があるので、それを紹介したい。
その研究が「米軍における指揮統制関係」(防衛研究所特別研究成果報告書)である。なお「特別研究」とは、内部部局、統合幕僚監部及び防衛装備庁の要請を受け、防衛政策の立案及び遂行に寄与することを目的に実施する調査研究をいう(平成11年防衛研究所達第1号「防衛研究所の調査研究に関する達」)。
米軍は、2又はそれ以上の国の部隊(forces)によって実施される軍事行動を「多国籍作戦」と総称し、通常は同盟(alliance)又は有志連合(forces)の枠組みで実施されると定義している。
同盟は、加盟国の共通利益を促進する広範で長期的な目標を達成するために2以上の国家間の正式な合意に基づく関係である。2以上の同盟国からの部隊で実施される作戦は、連合作戦(combined Operations)と呼ばれる。
有志連合は、共通の行動のための2以上の国家間の臨時の合意(ad hoc arrangement)である。2以上の有志連合構成国からの部隊で実施される作戦は、有志連合作戦(coalition operations)と呼ばれる。
多国籍作戦の指揮関係については、「すべての同盟及び有志連合の要求に適合する単一の指揮系統は存在しない」との現実的な認識を示しつつも、「指揮の統一(unity of command)による努力の統一(unity of effort)は政治的に実現不可能かもしれないが、目標としなければならない」として、あくまで(実現可能であれば)統一された指揮系統(unified command)による作戦が望ましいことが強調されている(Joint Publication3-16:Multinational Operations)。
本号では、米軍における多国籍作戦のための指揮統制に関する基本型3種類(一体型、一国主導型、並列型)を解説した箇所、及びNATOと米韓連合軍の実態を解説した箇所を抜粋の上、再編集して紹介する。
指揮・統制関連用語の定義
一部のメディアが「指揮統制」と記述していることから、指揮統制という軍事用語があると誤解する読者がいるかもしれない。
少なくとも自衛隊においては、「指揮」と「統制」は別概念である。この点について「日米首脳共同声明」(4月10日)も「指揮・統制」と、複数の単語を並べて一つにまとめたい時の区切り記号として用いられる中黒(・)を用いて、両者を区別している。
本号では、指揮・統制関連用語の定義について自衛隊、米軍、NATOのそれぞれについて紹介する。
出典は、「統合用語集」(統合訓練資料1-5)及び「多国間の共同(連合)作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する調査研究」(統幕学校部外委託研究)。
米第7艦隊の指示で陸自地対艦ミサイルが発射される
―日米戦術データ連係の現状―
以下は、かつての防衛省予算関連資料に掲載された図であるが、この図の意味するところを解説する。
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