内閣広報官に外務省出身の小林 麻紀 氏が7月1日付けで就任する(YAHOO!Japanニュース)。
同氏には外務省外交記録・情報公開室長時代に本会の情報公開請求の受け取りを拒否し、国賠訴訟で敗訴した黒歴史があることを紹介したい。
裁判の発端となったのは、開示請求者(桜井 本会代表)が「外交記録公開の対象となっている文書の件名一覧(当該一覧が電磁的記録化されていれば、それを希望)。」という請求件名で、行政文書開示請求書を外交記録・情報公開室に対して発送したところ(2010年6月23日同室受領)、同室は補正依頼を行うことなく(注)、対象文書を特定できないことを理由に同請求書を返送したのであった。
この返送の措置に対して慰謝料の請求を求めて訴えを起こしたのが国賠訴訟であった。
東京地裁判決は、補正依頼を行わない開示請求書の返送を、異議申立による審査・処分を受ける権利を開示請求者から不当に奪ったものとして国家賠償法上の違法性を認めたのである。なお国は上告せず同判決は確定した。
このように情報公開に対する理解が乏しい同氏に、内閣の情報発信の責任者が務まるのかが注目される。
(注) 当時、情報公開手続に関する国の統一指針であった「情報公開事務処理の手引」(平成18年3月 総務省行政管理局情報公開推進室) は、「対象文書の特定が不十分である場合には、補正を求めることにより開示請求者に明確に特定させた上で事務処理を進めることを徹底すること。なお、法第23条の趣旨に沿って、行政文書の特定に資する情報の提供を積極的に行うべきであり、特定不十分として不開示決定を行うという事態は、開示請求者の側における特別の事情(行政文書の特定に資する情報を提供したにもかかわらず、行政文書を特定するに足りる事項の記載がなされないとき)がなければ生じないものであるということに留意すること」と定めていた。
(参考情報)
・ 判決文(ここをクリックするとPDFファイルでダウンロード可能)。
・ 「外交記録公開推進委員会第3回会合出席者リスト」(ここをクリックするとPDFファイルでダウンロード可能)。同氏が外交記録・情報公開室長であったことが明記されている。
・ 答弁書(ここをクリックするとPDFファイルでダウンロード可能)。同氏が国側の指定代理人であることが明記されている。
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