外務省答弁資料から見たイスラエルによるイラン攻撃―「先制攻撃」ではなく「予防戦争」―
- 軍事問題研究会編集
- 6 日前
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外務省答弁資料から見たイスラエルによるイラン攻撃
―「先制攻撃」ではなく「予防戦争」―
イスラエルが突然始めたイランへの攻撃を我が国マスメディアは「先制攻撃」と表現しているが、完全にミスリードだ。
イランはイスラエルに対する攻撃に着手しておらず、イスラエルのコーヘン駐日大使はこの攻撃の目的はただ1つでイランによる核の脅威を取り除くことだと発言している(日テレNEWS LIVE)。
このことから、イスラエルによる攻撃は将来における核の脅威の芽を摘むための攻撃であり、国際法上は「予防戦争」(その他に「preventive self-defence」、「予防攻撃」等の呼称あり)と呼ばれるもので、我が国政府の見解では国連憲章違反とされている。
またイスラエルは攻撃の当初にハメネイ師殺害を狙っていたようだが(ロイター)、もし実行に移していたら国家代表等犯罪防止処罰条約違反だ。
それにもかかわらず、日本も含むG7サミットの共同声明には、「我々は、イスラエルは自国を守る権利を有することを確認する」という、今回のイスラエルの予防戦争を承認するという驚くべき一節が掲げられている。日本政府も本音では「我々のために汚れ仕事をしている」(メルツ独首相発言)と考えていたのである。あるいは北朝鮮の核問題の解決についても今回同様の選択肢を残しておきたかったのかもしれない。
しかしこんな理屈を認めてしまえば、いずれブーメランとなって我が国に返ってくることであろう。我が国が今後取得する反撃能力を自国の潜在的脅威と見なした中国や北朝鮮が予防攻撃を行った際に、彼らが「自国を守る権利を有する」と主張しても日本政府は反論できまい。
そもそも予防戦争や先制攻撃が国連憲章違反であるという政府の明確な見解について、衆議院安全保障委員会(2022年12月8日)に備えて外務省が作成した答弁資料から解説したい。

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