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台湾有事での課題「日米地位協定第2条」とは? ―防衛省部内資料が示すその意義と手順―

  • 軍事問題研究会編集
  • 12月9日
  • 読了時間: 4分

更新日:12月10日

『軍事民論』第770号(2025年12月10日発行)・・・10頁

(掲載記事)

①台湾有事での課題「日米地位協定第2条」とは?

 ―防衛省部内資料が示すその意義と手順―

②第2期トランプ政権における台湾有事への対応の可能性

③「戦略の再考:CSBAの再配分演習から見える国防予算」の概要


①記事について  「台湾有事に備えて 在沖海兵隊員の家族を今すぐ沖縄から帰国させよ―米海兵隊中佐論文(2024年10月14日配信)の衝撃に隠れてあまり注目されなかったが、米海兵隊の現役中佐が発表した台湾有事に備えて日米地位協定改定を訴える論考は、今後日米間の検討課題となると思われる。

 日米地位協定第2条は米軍に日本国内の施設・区域の使用を認めると共に、米軍施設・区域の自衛隊による一時的使用(第2条第4項(a))、同じく自衛隊施設・区域の米軍による一時的使用(同項(b))をそれぞれ認めている。

 同論考は第2条第4項(b)に基づく米軍による自衛隊施設の利用の手続きを速めるために日米地位協定の改定を求めたものだ。迂闊にもこの論考を読むまで筆者(桜井)は、日米共同演習において同協定第2条第4項(b)に基づき自衛隊施設を米軍に使用させている(注)ことに気付いていなかった。演習においてこれが行われているということは、台湾有事においても自衛隊施設が米軍に使用されることが前提となっている証左である。

 そこで日米地位協定第2条第4項(b)に基づく米軍による自衛隊施設の利用の手続きに関して防衛省に情報公開請求したところ、そのうちの1つとして基地対策担当者向けの講義資料「令和6年度基地対策担当者会同」が開示された。

 同資料は主に日米地位協定第2条の解釈について記載された箇所があるのだが、所々墨消し措置が施されている。明らかにできないのは、そこには国民には説明のつかない解釈が示されているのではないのか?。

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 そこで思い出されるのが、沖縄地元紙『琉球新報』が暴露した「日米位協定の考え方」だ。これは、外務省が作成した機密文書で日付は昭和48(1973)年4月(2004年1月1日付『琉球新報』第1版1頁)、日米地位協定の条文などについて外務省の逐条解釈が示されている。同紙による公表当時、米国にあまりにもおもねる外務省の協定解釈に批判と怒りが湧き上がった。

 「考え方」は、後の昭和50年代に改訂版が作成され、政府はこちらの文書の存在を認めているが情報公開を拒否しており(「平成18年度(行情)答申第343号」)、また昭和48年版については改訂版が作成されたことから廃棄された主張している(「平成18年度(行情)答申第345号」)

 本号では、「令和6年度基地対策担当者会同」を抜粋・紹介する。なお不開示箇所を推察する手段として『琉球新報』紙が暴露した「日米地位協定の考え方」からも関連部分を紹介した。また文中「II―4―(a)」及び「II―4―(b)」とあるのは、それぞれ日米地位協定第2条第4項(a)及び第2条第4項(b)を指している。

(注) 一例として以下の合意がある。

「(お知らせ)日米合同委員会合意について」(令和7年9月5日 防衛省)ここをクリック

〔解説〕桜井 宏之(さくらい・ひろゆき/本会代表)

【関連バックナンバー】 「在日米軍データブック」(2025-26年)ここをクリック

『軍事民論』第752号掲載 *ここをクリック

・ 在沖海兵隊は北海道へ―前防衛施設庁長官の提言


『軍事民論』第754号掲載 *ここをクリック

・ 米兵容疑者の身柄引き渡しは、日本の「人権擁護に関する関心の度合い」がカギ-防研部内報告書の分析


②③記事について  ②及び③は米国情勢に関する本会の情報公開請求により防衛省が開示したもの。

 ③記事は、戦略・予算センター(CSBA)が米政府等の要員参加を得て、新政権が中国の軍事的挑戦にいかに対応すべきか検討した演習の結果をまとめたもの。

 1)ありうべき中国による台湾侵攻に対する2つの戦略シナリオ、2)今後の米国防省の4つの予算シナリオ、3)国防総省の予算・事業を基に、どのような予算配分調整を行えば米軍の軍事的優勢を最大化できるかを検討している。


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