防衛省調達先の売上高トップが5年連続して米政府であることが、同省が衆議院予算委員会に提出した資料から明らかになった。これは、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく米政府からの有償軍事援助(Foreign Military Sales:FMS)による調達だ。
この事実を明らかにしたのが、同省が衆院予算委に提出した「衆議院予算委員会要求資料」である。同資料は、予算委員会の審議に資するために毎年度、野党各党の照会項目に対して防衛省が回答及び関連資料をまとめたものだ。平成31(2019)年度までは国内企業についてのみ売り上げ高上位30社を集計していたのだが、令和2(2020)年度からは米政府も加えられたためこの事実が明らかになった。
令和2(2020)年度以降の提出資料から、平成28(2016)~令和2(2020)年度までの調達で米政府が1位であることが分かる。特に平成29(2017)及び平成30(2018)年度に至っては2位との金額差は2倍にまで開いていた。
〔平成28年度(2016年4月~2017年3月)〕
1位 米政府 ¥4,795億円
2位 三菱重工業 ¥4,532億円
〔平成29年度(2017年4月~2018年3月)〕
1位 米政府 ¥3,807億円
2位 三菱重工業 ¥2,457億円
〔平成30年度(2018年4月~2019年3月)〕
1位 米政府 ¥4,000億円
2位 三菱重工業 ¥1,949億円
〔令和元年年度(2019年4月~2020年3月)〕
1位 米政府 ¥6,869億円
2位 三菱重工業 ¥3,127億円
〔令和2年度(2020年4月~2021年3月)〕
1位 米政府 ¥4,202億円
2位 三菱重工業 ¥3,102億円
こうしたFMSを通じた装備品の爆買いの皺寄せを受けているのが、ウクライナ紛争でその重要性が認識された兵站だ。例えば弾薬は、自給率となる国内調達額で65.1%に過ぎない((資料番号:22.8.17-2)「参議院予算委員会要求資料」(防衛省 2022年1月28日)9頁)。
(注) 防衛省調達先の推移については、『軍事民論』第698号(2022年9月1日配信)に掲載している。詳しくはここをクリック。
【関連資料のご紹介】*ご利用は会員限定
(資料番号:19.10.21-1)「有償援助(FMS)による防衛装備品等の調達に関する会計検査の結果について」(2019年10月 会計検査院)*抜粋はここをクリック。
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