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軍事問題研究会編集

データで見る自衛隊2024-25年―予算委員会要求資料から

『軍事民論』第742号(10月1日)…14頁

データで見る自衛隊2024-25年―予算委員会要求資料から 〔解説〕我が国の省庁のうち、その実態が明らかになるデータを出し渋る組織の1つが防衛省・自衛隊だ。このため客観的なデータを揃えることが困難であることが、この組織を論じる際の障壁となっている。

 そこで本号では、公刊資料では得ることができない、防衛省・自衛隊に関する最新データを紹介したい。

 データの出典は、「予算委員会要求資料」である。同資料は、衆・参予算委員会の審議に資するために毎年度、野党各党の照会項目に対して防衛省が回答及び関連資料をまとめたものだ。予算審議という「人質」を取られている関係からか、通常であれば明らかにされることない情報も掲載されている。

 ここから特に希少性の高いデータを抜粋すると共に、情報公開請求により同省が開示した部内資料その他も補足資料として添えている。


(掲載データ)

【自衛官の死亡者数及び死因、事故者数】

 自衛官の死亡者数及び死因、事故者数の一覧(2013年~2022年)。

【自衛官の充足率】

 陸・海・空・統幕別の幹部・准尉・曹・士別の定員、現員、欠員、充足率の一覧(2021年~2023年度)。

【自衛官の新規採用者数】

 陸・海・空別の一般曹候補生及び自衛官候補生別の計画数、採用人数、対計画比の一覧(2022~2023年度)。

【自衛隊員による犯罪】

 2022年度刑事事件統計(検挙人数)で、知能犯・粗暴犯・凶悪犯・風俗犯・交通犯・自衛隊法違反等別の一覧。

【自衛隊員の懲戒処分】

 自衛官及び事務官等の懲戒処分数の折れ線グラフ(2012~2022年度)と2022年度の事由別・種類別処分数。

【防衛装備品の輸入調達】

 米国からの装備品等の輸入調達額の一覧と主要装備品の輸入調達額と調達総額に占める比率の一覧(2013~2022年度)。

【防衛関係費の推移及び伸率の推移】

 1955~2023年度までの防衛関係費とその伸率の推移(折れ線グラフ)。2023年度防衛関係費の伸率が過去最高であることを示している。

【我が国の財政状況】

 1975~2024年度までの一般会計歳出・一般会計税収の推移(折れ線グラフ)と公債発行額の推移(棒グラフ)。

【将官の天下り先】

 防衛省契約高上位20社への将官(将、将補、1佐)の再就職の一覧(2022年度)。

【防衛省調達上位20社】

 企業名・金額・主な調達品目の一覧(2018~2022年度)。

【自衛隊施設の地下化】

 施設名・その事業経費・完成年度の一覧(1985~2024年度)。

【予備自衛官】

 予備自衛官と即応予備自衛官の①職業別人数②員数と現員③国家公務員、地方公務員、国営企業別人数の一覧(2018~2022年度)。

【ジブチ拠点の現状】

 派遣海賊対処航空隊のために2011年にジブチに置かれた自衛隊の拠点が、在外邦人等保護・輸送等のための拠点としても活用されようとしている。その取組の現状を自由民主党安全保障調査会に説明するために防衛省が提出した資料を掲載。

【特定利用空港・港湾】

 現在政府は、「有事の際の展開等を目的とした円滑な利用配備のため、自衛隊海上保安庁のニーズに基づき、空港港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設する」(24~25頁)との「国家安全保障戦略」の決定に基づき、民間空港・港湾を「特定利用空港港湾」に指定することを進めている。

 政府は「国家安全保障戦略」のこの記述に目を背け、「有事の利用を対象とするものではありません」(「『総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備』に関するQ&A(令和6年8月26日更新)」)と強弁するが、有事の際の展開等を目的に整備された「特定利用空港港湾」が軍民共用(空)港―国際法上の軍事目標―と見なされることは避けられない。

 2024年8月26日時点で指定されている「特定利用空港・港湾」の地図を掲載。

【防衛力抜本的強化実現推進本部組織図】

 防衛力抜本的実現推進本部」とは、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」の各事業を的確に執行していくため、2023年4月に防衛省内に設置されたもの。

 2024年版『防衛白書』212頁に掲載された組織図より更に詳しい組織図が開示されたので、その図を掲載。

【各種法規の関係図】

 一般的な法律の解説書では憲法を最上位に置くが、自衛隊の教育資料では通達が最上位で、最下位が憲法となっている。自衛隊の法規観が示されている図を掲載。

【核兵器保有は合憲】

 核兵器保有は合憲であるが、自衛隊が保有できない理由を説明した教育資料の図を掲載。

【身近な人が自衛隊員になりたいと言ったら反対する理由】

 航空幕僚監部は2年に1度の割合で、自衛隊員(自衛官事務官技官等)の意識調査を行っている。調査方法は調査票による質問紙法で、選択式と記述式の回答形式となっている。その中から最新の調査結果(調査期間2023年7月3日~7月31日)に掲載された記述式の回答結果を掲載。

 設問の「身近な人が自衛隊員になりたいと言ったら反対する理由」に対する意見は、記述した空自隊員の不満を表しているものと言える。

【避難シェルターの概要】

 現在政府は、有事に備え国民を避難させるためのシェルターの建設を進めようとしている(政府 シェルターの整備方針決定 沖縄の5市町村に新施設)。そのシェルターが備えるべき基本的な構造について政府が定めた技術ガイドラインからの図の抜粋を掲載。

【在外邦人救出作戦での自衛隊の編成】

 在外邦人が人質として拘束監禁されている場合に救出する任務が、自衛隊法第84条の3(在外邦人等の保護措置)。

 「自衛隊在外邦人等保護措置基本計画」(統幕運2第81号(令和3年6月4日)別冊)では、平成31年版の基本計画を改正し、保護措置に当たって派遣される部隊内に新たに「救出作戦部隊」を設けた。その編成図を掲載。

 安保法制のコンメンタールである「平和安全法制論点集」では、同条項に基づく人質救出作戦において特殊作戦群を活用することを明言しており、救出作戦部隊は特殊作戦群を中心に編成されると考えて良いであろう。

 「在外邦人等の保護措置」で派遣された部隊は、正当防衛・緊急避難でなくとも邦人保護及び救出のために武器の使用ができる。これを任務遂行型の武器使用という。

 上記論点集に掲載された、任務遂行型の武器使用を想定した場面のイメージ図も掲載した。言い換えるとこうした場面に邦人が遭遇した場合、自衛隊は「在外邦人等の保護措置」で派遣されるのである。

 以 上


(出典)*順不同

「衆議院予算委員会要求資料(共産党)(第2次)」(2024年4月 防衛省) *抜粋はここをクリック

「参議院予算委員会要求資料」(防衛省 2024年2月7日) *抜粋はここをクリック

「『第2回人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会』会議資料」(2024年7月31日)

「日本の安全保障政策―安全保障と経済成長の好循環に向けて―」(2024年2月19日 防衛省)*本資料は、自由民主党安全保障調査会の説明資料として提出されたもの。

「総合的な防衛体制の強化に資する取組について(公共インフラ整備)」(2024年8月26日更新)

「関係国内法令―行動法規―」(海上自衛隊幹部学校作戦法規研究室) *抜粋はここをクリック

「令和5年度隊員意識調査結果」(中業隊人管第1011号(令和6年2月22日)別冊) *抜粋はここをクリック

「特定臨時避難施設の技術ガイドライン(第2版)」(2024年6月 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)付) *抜粋はここをクリック

「平和安全法制論点集」 *抜粋はここをクリック


【関連バックナンバー】

 本号お買い上げの方には下記別冊を¥500円にて頒布致します。「衆議院予算委員会要求資料(共産党)(第2次)」(2024年4月 防衛省)からの抜粋で、全国の自衛隊演習場射撃場訓練場の一覧(名称、所在地、面積)です(右図参照)。 

『軍事民論』第742号別冊「自衛隊演習場・射撃場・訓練場一覧」(2023年3月31日現在)…10頁


 本号をお買い上げの方は下記データブックの頒価を¥1,500円と致します。

「在日米軍データブック」(2024-25年) *詳細はここをクリック


□ 頒価 ¥300円(前金制)

 下記本会口座までご入金戴くと共に、本会アドレス(ttn5rhg28d@mx2.ttcn.ne.jp)まで「『軍事民論』第742号注文」とお申し付け下さい。

 お振込み確認後、PDFファイルをメールにて送付致します。


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 発行しませんのでご注意下さい。

 ただし本誌又は本会ニュースのバックナンバーを合わせて¥500円以上をご購入の場合は、お申し付け戴ければ発行致します。


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