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  • 軍事問題研究会編集

防衛省省内検討資料から見た「存立危機事態」の論点

『軍事民論』第709号(2023年1月31日発行)…9頁


 昨年12月、いわゆる安保3文書―国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画―が制定され、我が国の戦後防衛政策の大転換となる反撃能力が導入が決定された。

 今年1月11日(米国時間)に開かれた日米安全保障協議委員会で日本政府は、この能力を「米国との緊密な連携の下で」運用すると誓約した。すなわち集団的自衛権行使の際に用いることを対米公約としたのである。

 我が国有事でないにも関わらず武力行使が許容されるのが集団的自衛権行使であり、その行使が可能となる事態が、安倍政権下で成立した安全保障法制で新たに設けられた「存立危機事態」だ。

 この存立危機事態について、麻生副総理兼財務相は2021年7月5日に都内の講演で台湾有事は同事態として対処すべきとの見解を示している(THE SANKEI NEWS 2021/7/5 22:31)。即ち、台湾有事では日本の反撃力が行使されるのである。

 そこで本会は、情報公開請求により防衛省が開示した存立危機事態に関する省内検討資料から、同事態の論点整理を改めて試みた。

 省内検討資料で提示されていた論点を精査したところ、安保法案の国会審議において追求されることがなかった論点が浮かび上がった。それらについて以下紹介する。

 引用したのは、以下の資料である。なおタイトルが明記されていない一部の資料については、開示決定通知書に記載された件名としている。

① 「我が国に対する武力攻撃が発生していない場合の「武力の行使」について」(27.6.19 内閣官房)

② 「武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律(平成16年法律第113号)の一部を改正する法律案に係る説明資料」(2015年3月 内閣官房)

③ 「平成27年4月13日 『存立危機事態』について」

④ 「防衛出動下で認められている自衛隊の行動に必要な各種の権限等や特例の措置のうち、存立危機事態において適用されるものとされないもの」

⑤ 「論点 第2条第8号ハの『存立危機事態を終結させるためにその推移に応じて実施する次に掲げる措置』の『終結』の意味いかん。」

⑥ 「論点 『存立危機事態』における地方公共団体の『責務』が規定されないことと改正案第4条第2項の関係」

⑦ 「平素・重要影響・存立の分類」


【本号で取り上げた論点】

・ 我が国に対する武力攻撃が発生していない場合の「武力の行使」について 

・ 存立危機事態と武力攻撃事態等との相違。

・ 武力攻撃事態等における米軍以外の外国軍隊及び「存立危機事態」における米軍を含む外国軍隊について、米軍行動関連措置法第9条、第14条及び第15条を適用させない理由。

・ 「存立危機武力攻撃」を排除するために必要な活動を行っている外国軍隊と、それ以外の活動を行っている外国軍隊を峻別できるか。

・ 「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これを排除しなければ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があると認められるもの」(「存立危機武力攻撃」)とそれ以外の武力攻撃は峻別できるのか。

・ 「存立危機事態」において、「地方公共団体との連絡調整」(第8条)に基づき連絡調整の対象となる対処措置の例。

・ 「存立危機事態」における米軍の車両と武力攻撃事態となった場合の車両(「武力攻撃事態等米軍車両」)の切り分け。

・ 防衛出動下で認められている自衛隊の行動に必要な各種の権限等や特例の措置のうち、存立危機事態において適用されるものとされないもの

・ 第2条第8号ハの「存立危機事態を終結させるためにその推移に応じて実施する次に掲げる措置」の「終結」の意味いかん。

・ 「存立危機事態」における地方公共団体の役割

・ 法改正前後での米艦防護の相異

       *表の一部抜粋です。


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