『軍事民論』第631号(2019年4月25日発行)…4頁
「自衛隊国民監視差し止め訴訟」で自衛隊は傍聴人を監視していた!?
はじめに
少し古い話になるが、自衛隊のイラク派遣に反対する市民運動を陸上自衛隊情報保全隊が監視・情報収集したのは違法だとして、損害賠償等を求めた「自衛隊国民監視差し止め訴訟」という裁判があった。
結果は、仙台高裁判決が国に賠償を命じ、国は上告を断念、原告勝訴で判決が確定した。
この裁判に関する防衛省の内部資料を本会は情報公開請求したところ、2年という開示期限延長の後、最近ようやく開示を受けた。内容の精査が終わったので、本号ではその報告を行いたい。
内部資料を読んで筆者が最も驚いた(というか呆れた)のが、国民監視について裁かれている裁判で、自衛隊が傍聴人を監視していたことが分かったことだ。その動かぬ証拠は3頁に掲載しておいた。

事件当時、本会はこの問題に対するメディアの反応の鈍さを指摘したが(2007年6月18日配信「ニュースの背景:『陸自による国民監視活動』事件になぜメディアの反応は鈍いのか?」)、この機会に改めてこの事件の問題点を指摘したい。
この事件の何が問題か?
国民に対する直接の被害が発生していないと考えたのか、当時メディアは、墜落や誤射といった事故の時のような反応を示さなかった。
この事件に対するメディアの感度の悪さの1つには「保全」の本当の意味が分かっていなかったことにあったと思われる。
防衛省・自衛隊は当時、情報保全隊の行った活動は一般的な情報収集活動であるかのごとく言い訳をしていたが、保全ないし保全活動はそのような一般的な活動を指すものではない。
保全とは自衛隊のみで通用する用語であり、歩兵科を普通科と言い換えるのと同様に真の意味をオブラートに包んで実態を見えなくさせるための用語なのである。
保全は、米軍用語ではcounterintelligence*1という。counterintelligenceとは、戦前の日本であれば防諜といい、主に陸軍憲兵隊と陸軍調査部が担当していた*2立派な諜報活動なのだ。
現在自衛隊が使用している保全も、言葉の外見とは裏腹にその中身は恐ろしいものだ。
*1 (資料番号:16.7.25-5)「海上自衛隊日米用語対訳集」(海上自衛隊訓練資料第258号)626頁。なお「資料番号」とは、資料の整理・保存のため本会が便宜上付けた番号である。
*2 小谷 賢「日本軍のインテリジェンス」(講談社 2007年4月25日第2刷発行)67~78頁。
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